エッセイ集:生きる①
「酒タバコ やめて100まで生きたバカ」
人生100年時代を面白く生きたい人のための心の常備薬。
11月22日(月)発売予定。
もくじ
・客観性という名の神様と自分の物語
・人生最後の全力疾走?
・母の卒業
・1976年の夏休みの星空と自己の存在証明について
・子どもの青春はこれからだけど、
あんたの青春はもう終わり
・「赤い服の少女」に学ぶ人生タマタマ
・母の世界が縮小し深化する
・お正月のワクワクすごろく
・「この世界の片隅に」を見ると、世の中そうたやすく悪くはならないと思えてくる
・この世界の片隅に居所を見つけられる未来のために
・酒タバコ やめて100まで生きたバカ
ほか 全31篇収録
僕は戦争を知らない子ども、どころか、
高度経済成長期も知らない子どもだ。
にも関わらず、子どもの頃は軍歌の「同期の桜」を歌っていた。
いま思えば、ひどく悲しい歌だが、
その頃は「宇宙戦艦ヤマト」と同じノリで、
誰に強制されることなく、胸高鳴らせて歌っていたのだ。
それは捨てるべき価値観だけど、
どうしてそういう価値観が生まれ、
戦争を知らない子どもも持っていたのかは
知っておいたほうがいい。
未来を生きるために過去を知る。
令和を生きるため昭和を知る。
3月29日(月)17:00~31日(水)16:59まで
2日間限定の無料キャンペーンです。
エッセイ集「昭和96年の思い出ピクニック」/おりべまこと
アイドル、マンガ、オカルト、オリンピック、新聞配達、家族、そして戦争――
昭和には愛すべきもの、憎むべきもののすべてがあった。
2021年=令和3年=昭和96年になった今でも、
僕たちは昭和の物語から離れられない。
海を埋めたて、山を切り開き、明日へ向かって進んだ果てに
見つけたものは何だったのか?
みんなが愛して憎んで生きた時代を1960(昭和35)年生まれの著者が探検する面白まじめエッセイ集。
ブログ「DAIHON屋のネタ帳」から30篇を厳選・リライト。
もくじ
・西城秀樹さんのお葬式:青春の同窓会
・ちびまる子ちゃんとサザエさんはいつまで続くのか?
・昭和オカルト大百科
・新聞少年絶滅?物語
・死者との対話:父の昭和物語
・社会全体の児童虐待と「晴れた空」
・東京ブラックホールⅡ:「老いた東京」は美しいか?
・さらばショーケン:カッコ悪いカッコよさを体現した1970年代のヒーロー
・さらば平成――みんなが昭和に帰りたがった30年
・永遠の昭和 明日のための1960年代・70年代 ほか
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または書籍名「昭和96年」を入れてアクセス。
●スマホやタブレットで読める:Kindle無料アプリ
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●Kindle unlimited 1ヶ月¥980で読み放題
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大晦日の午後から今朝まで息子が来ていた。
若い奴が家の中にいて、いつもと調子が違うので、
義母が戸惑い気味だった。
いつもマイペースで、夕食が済むと、
すぐに自部の部屋に引っ込んでしまうことが多いのだが、
夕食後もずっと居間にいて、
一緒にテレビを見たり、本を読んだりしていた。
(実際はどちらもあまりわかっていない)
デイサービスがお休みで、お散歩だけでは
刺激が少ないことも影響しているのだろう。
大晦日も元旦もけっこう遅くまで起きていた。
仲間はずれになるのは嫌だという心理も
働いていたのかも知れない。
今朝の朝食後、自転車で帰宅する息子を
わざわざ下まで降りて、ぎゅっと手を握って
割と劇的にお別れをした。
しかし、戻ってきてトイレに入って出てきたら、
「あれ? あのお兄さんはどこ行ったの?」
まぁ、それなりに楽しんでくれたようだからいいかな。
息子は書店勤めで読書家である。
今回も「2020おれのおすすめ」なるものをおみやげに
持ってきてくれた。
動物学者でもあるディーリア・オーエンズ
「ザリガニの鳴くところ」は
最初の5ページくらい読んだだけで世界に引き込まれた。
素晴らしい描写力、そして品格に富んだ文章。
読み終えたらレビューを書きたいと思う。
おりべまこと年越し無料キャンペーン
第2クールは2日夕方から4日夕方まで。
面白まじめなネタ帳エッセイ集4タイトル。
お正月後半のおつまみに!
1月2日(土)17:00~1月4日(月)16:59
●どうして僕はロボットじゃないんだろう?
ASIN: B08GPBNXSF
社気を劇的に変えるAI・ロボット・インターネット・DXにまつわる考察を面白まじめな読み物に。ブログから33編を収録。
●神ってるナマケモノ ASIN: B08BJRT873
イマジネーションを掻き立てる、地球上の137万種類の動物たちについてのエピソードやあれこれ考えたこと。ブログから36編を収録。
●子ども時間の深呼吸 ASIN: B0881V8QW2
自分のなかにいる子どもにアクセスしてみれば、自分にとっての正解がわかる。〈少年時代の思い出〉×〈子育て体験〉×〈内なる子どもの物語〉。ブログから40編を収録。
●ロンドンのハムカツ ASIN: B086T349V1
※3日(日)17:00~4日(月)16:59のみ
「食」こそ文化のみなもと。その大鍋には経済も産業も、科学も宗教も、日々の生活も深遠な思想・哲学も、すべてがスープのように溶け込んでいる。ブログから33編を収録。
2日(土)16:59まで、第1クールとして、おとなも楽しい少年少女小説6タイトル 無料キャンペーン中!
●いたちのいのち
●ざしきわらしに勇気の歌を
●ピノキオボーイのダンス
●オナラよ永遠に
●茶トラのネコマタと金の林檎
●魚のいない水族館
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本日9月5日(土)~7日(月)まで
Amazon Kindle電子書籍
「どうして僕はロボットじゃないんだろう?」の
無料キャンペーンを行ないます。
この機会にぜひ手にお取りください。
●タイトル:「どうして僕はロボットじゃないんだろう?」
/おりべまこと(エッセイ集:ロボット)
●実施日時:9月5日(土)16:00~7日(月)15:59
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コードナンバー「ASIN: B08GPBNXSF]
または著者名「おりべまこと」、
書籍名「どうして僕はロボットじゃないんだろう?」
を入れてアクセス
●概要:
社会のニーズに応え、生活に入り込み、世界を変革していくAI・ロボット。
はたしてやつらは人間の敵か味方か? 上司か部下か? ライバルか友だちか?
ただの機械に過ぎないのか、それとも人類の子どもなのか?
2016年夏から2020年夏まで、AI・ロボット・インターネット・DXにまつわる4年間の考察を読み物にした、おりべまことの面白まじめエッセイ集。
ブログ「DAIHON屋のネタ帳」から33編を厳選・リライト。
●もくじ
・介護士・看護師は人間か、ロボットか?
・インターネットがつくるフォークロア
・こちとら機械だのロボットだのじゃねえ。人間でぃ!
・聖書から始まった「人間VS機械」
・子どもはどうしてロボットが好きなのか?
・きみはロボットじゃないよ
・宅配便問題:インターネットハイウェイはロボット社会へまっしぐら
・スチームパンク:十九世紀への冒険
・ロボットみたいな人間、人間みたいなロボット
・ビートルズ伝説×ロボティクス・エンターテインメント事業
・人工知能・ロボット社会へ、ぼちぼち心の準備中
・ロボットが社会に出てくるからこそ、人間の在り方について考えられる
・京都探訪記二〇一七:宗教的空間とインターネットに関する考察
・AI党・ロボット大統領
・オリンピックをオワコンにするのはインターネット? それとも「夢よもう一度」の利権執着昭和人?
・「生産性」という言葉が怖い・重い
・AIライター・ロボットライター
・外国人労働者とロボットと徒弟制度
・「人間を大事にしています」ってどういうこと?
・どうして僕はロボットじゃないんだろう?
・ビッグデータ分析と夢を共有する時代
・アンドロイド観音とどう向き合うか?
・デジタル時代ならではのアナログ手書き写本トレーニング
・世界自閉症啓発デー&発達障害啓発週間と人権意識の未来
・住所変更で、銀行の変貌ぶりをリアル体験
・人間味豊かな会社だね、と思われたい
・人間とロボットの未来は、トイレ掃除がカギを握っている
・AI・ロボットが働き出して、人類の長い労働の旅が終わる
・永遠の昭和 明日のための60's~70's
・ロボットが生まれて100年が経った
・青春ソングを愛する若者とおやじとアンドロイド
・AIを使うために必要な人間臭さ
・「アホな人間よりも優秀な機械ですよ」とは書かない
●Kindle無料アプリをインストールすれば、今すぐスマホやタブレットで読めます。
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●1ヶ月¥980でどんな本も読み放題の
「Kindle unlimited」も利用できます。
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社会のニーズに応え、生活に入り込み、
世界を変革していくAI・ロボット。
はたしてやつらは人間の敵か味方か?
上司か部下か? ライバルか友だちか?
ただの機械に過ぎないのか、それとも人類の子どもなのか?
2016年夏から2020年夏まで、
AI・ロボット・インターネット・DXにまつわる4年間の考察を読み物にした、おりべまことの面白まじめエッセイ集。
ブログ「DAIHON屋のネタ帳」から33編を厳選・リライト。
本日8月26日(水)より発売開始!
もくじ
・介護士・看護師は人間か、ロボットか?
・インターネットがつくるフォークロア
・こちとら機械だのロボットだのじゃねえ。人間でぃ!
・聖書から始まった「人間VS機械」
・子どもはどうしてロボットが好きなのか?
・きみはロボットじゃないよ
・宅配便問題:インターネットハイウェイはロボット社会へまっしぐら
・スチームパンク:十九世紀への冒険
・ロボットみたいな人間、人間みたいなロボット
・ビートルズ伝説×ロボティクス・エンターテインメント事業
・人工知能・ロボット社会へ、ぼちぼち心の準備中
・ロボットが社会に出てくるからこそ、人間の在り方について考えられる
・京都探訪記2017:宗教的空間とインターネットに関する考察
・AI党・ロボット大統領
・オリンピックをオワコンにするのはインターネット? それとも「夢よもう一度」の利権執着昭和人?
・「生産性」という言葉が怖い・重い
・AIライター・ロボットライター
・外国人労働者とロボットと徒弟制度
・「人間を大事にしています」ってどういうこと?
・どうして僕はロボットじゃないんだろう?
・ビッグデータ分析と夢を共有する時代
・アンドロイド観音とどう向き合うか?
・デジタル時代ならではのアナログ手書き写本トレーニング
・世界自閉症啓発デー&発達障害啓発週間と人権意識の未来
・住所変更で、銀行の変貌ぶりをリアル体験
・人間味豊かな会社だね、と思われたい
・人間とロボットの未来は、トイレ掃除がカギを握っている
・AI・ロボットが働き出して、人類の長い労働の旅が終わる
・永遠の昭和 明日のための60's~70's
・ロボットが生まれて100年が経った
・青春ソングを愛する若者とおやじとアンドロイド
・AIを使うために必要な人間臭さ
・「アホな人間よりも優秀な機械ですよ」とは書かない
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おりべまこと電子書籍「神ってるナマケモノ」の第1回無料キャンペーン実施中。
本日、6月28日(日)午後4時59分までです。
この機会に、ぜひどうぞ。
可愛いくて、楽しくて、笑える彼ら。
奇妙で、不気味で、不思議な彼女ら。
美しくて、おぞましくて、くさくて、汚くて、
とてつもなく怖くて危険なやつらも。
僕たちはこの星の上で137万種類を超す動物たちと
いっしょに暮らしている。
イマジネーションを掻き立て、
人間の世界観の大きな領域をつくってきた
仲間たちについてのエピソードや、
あれこれ考えたことを編み上げた面白エッセイ集。
ブログ「DAIHON屋のネタ帳」から36編を厳選・リライト。
内容
・ネコのふりかけ
・おしりを拭いてもらうイヌの幸せと人面犬の増殖について
・なぜ日本ではカエルはかわいいキャラなのか?
・ウーパールーパーな女子・男子
・ヌード犬・ファッション犬
・いやしの肉球
・金魚の集中力は人間以上
・アザラシの入江でヤギの乳を搾ってチーズを作る娘
・ロンドンのリスとイヌとネコ
・ピーターラビットの農的世界への回帰現象
・京龍伝説
・失われたPTAコラムとライオンの面倒を見るコアラの話
・カエル男のスキンケロ情報
・迷子の猫とネコ探し名人ナカタさんのこと
・住宅街のヘビーなアナザーワールド
・おいらセイウチ
・カラス対ガマガエル 真昼の決闘
・ネコミュニケーションをスキルアップして、ネコから情報を取得する野望
・アポトーシスによって消失するオタマジャクシの尻尾と、
これからの人間の進化のパラドックス
・結婚記念日の花束と、ネコのいる花屋と、花を食べるネズミの話
・なぜプードルもチワワもダックスフンドも“いぬ”なのか?
・見タカ、聞いタカ、朝タカ情報
・野生の本能の逆流に葛藤する都会暮らしのネコ
・いつも心にカメを
・カエルの歌が聞こえてくるよ
・四国化け猫➡猫神さま伝説
・ヘビ女・ワニ男のパワーアイテム
・バニーガールと会ったお話、そして、女子はなぜウサギが好きなのか?
・クローン犬ビジネス
・『鳥のように自由に」と80歳になって語れるか?
・ヤモリは家守。かわいく、さりげなく守り神
・田町駅のペディストリアンデッキの鳩
・ぼくらはにおいでできている(チワワのハナちゃんに教えてもらったこと)
・地球に生きる人間の数と、人間の適正な大きさについての疑問
・犬から、ネコから、人間から、ロボットからの卒業
・神ってるナマケモノ
★本日のちょっと立ち読みは、
「おしりを拭いてもらうイヌの幸せと人面犬の増殖」
近所の道端で御用を足して、
飼い主さんにお尻をふきふきしてもらっているイヌに
ときどき出会う。
このときのイヌたちは皆、
一様に「テヘヘヘヘ・・・」という顔をしている。
今日会ったのはポメラニアンの女の子(服装から判断)だったけど、これはラブラドールだろうが、ダックスだろうが、
トイプーだろうが、シバだろうが、
ほんとにおんなじような顔をしているので面白い。
「ちょこっと恥ずかしいけど、ハッピー♡」
といった感じだろうか。
こういうイヌたちは姿かたちはイヌのままなれど、
顔つきだけは人間そっくりだ。
どうも自分は今、四足で歩いているけど、
大人になったら飼い主みたいに二本足で歩く人間になる――
そう思い込んでいるやつが多いのではないだろうか。
僕は、ちゃんとけじめをつけなきゃならんと思い、
「きみはイヌ。いつまでたっても四足。ずっと子ども。
死ぬまで人間にはなれないの」
と心の中で叫ぶ。
しかしもちろん、そんなことは口に出して言わない。
せっかく幸せな思いをしているイヌの夢を
壊すのもなんだなぁと思うし、
そんなことをいきなり言おうものなら、
イヌより先に飼い主に噛みつかれそうだからだ。
ただ「テヘヘヘヘ・・・」という顔をしている彼ら・彼女らを
5秒間じっと見つめ、最後にウィンクし、
黙って去っていくだけである。
そんな僕を、彼ら・彼女らは
「テヘヘヘヘ・・・」の顔のまま見送っている。
いつか大きくなったら人間に・・・という希望を抱きながら、
だんだん年老い、疲れ、やがて体も頭も動かなくなって
人間の家族らと死に別れることを知っているんだろうか・・・
と不憫に思いつつ。
それにしても「きみはイヌ、わたしは人間。
人間には逆らっちゃダメ」ってちゃんと教えている飼い主は
どれくらいいるのだろうか?
もう一つ、イヌのお尻を拭いている飼い主は決まって女の人で、
男の人にはまだお目にかかったことがない。
これはたまたまなのだろうか?
男はお尻の世話までしないのかなぁ?
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可愛いくて、楽しくて、笑える彼ら。
奇妙で、不気味で、不思議な彼女ら。
美しくて、おぞましくて、くさくて、汚くて、
とてつもなく怖くて危険なやつらも。
僕たちはこの星の上で137万種類を超す動物たちと
いっしょに暮らしている。
イマジネーションを掻き立て、
人間の世界観の大きな領域をつくってきた
仲間たちについてのエピソードや、
あれこれ考えたことを編み上げた、面白エッセイ集。
ブログ「DAIHON屋のネタ帳」から36編を厳選・リライト。
内容
・ネコのふりかけ
・おしりを拭いてもらうイヌの幸せと人面犬の増殖について
・なぜ日本ではカエルはかわいいキャラなのか?
・ウーパールーパーな女子・男子
・ヌード犬・ファッション犬
・いやしの肉球
・金魚の集中力は人間以上
・アザラシの入江でヤギの乳を搾ってチーズを作る娘
・ロンドンのリスとイヌとネコ
・ピーターラビットの農的世界への回帰現象
・京龍伝説
・失われたPTAコラムとライオンの面倒を見るコアラの話
・カエル男のスキンケロ情報
・迷子の猫とネコ探し名人ナカタさんのこと
・住宅街のヘビーなアナザーワールド
・おいらセイウチ
・カラス対ガマガエル 真昼の決闘
・ネコミュニケーションをスキルアップして、ネコから情報を取得する野望
・アポトーシスによって消失するオタマジャクシの尻尾と、
これからの人間の進化のパラドックス
・結婚記念日の花束と、ネコのいる花屋と、花を食べるネズミの話
・なぜプードルもチワワもダックスフンドも“いぬ”なのか?
・見タカ、聞いタカ、朝タカ情報
・野生の本能の逆流に葛藤する都会暮らしのネコ
・いつも心にカメを
・カエルの歌が聞こえてくるよ
・四国化け猫➡猫神さま伝説
・ヘビ女・ワニ男のパワーアイテム
・バニーガールと会ったお話、そして、女子はなぜウサギが好きなのか?
・クローン犬ビジネス
・『鳥のように自由に」と80歳になって語れるか?
・ヤモリは家守。かわいく、さりげなく守り神
・田町駅のペディストリアンデッキの鳩
・ぼくらはにおいでできている(チワワのハナちゃんに教えてもらったこと)
・地球に生きる人間の数と、人間の適正な大きさについての疑問
・犬から、ネコから、人間から、ロボットからの卒業
・神ってるナマケモノ
それでは本日のちょっと立ち読み。
「なぜ日本ではカエルはかわいいキャラなのか?」
「かえるくん、東京を救う」というのは、
村上春樹の短編小説の中でもかなり人気の高い作品だ。
主人公がアパートの自分の部屋に帰ると、身の丈2メートルはあろうかというカエルが待っていた、
というのだから、始まり方はほとんど恐怖小説に近い。
しかし、その巨大なカエルが「ぼくのことは“かえるくん”と呼んでください」と言うのだから、たちまちシュールなメルヘンみたいな世界に引き込まれてしまう。
この話は1995年に起こった阪神大震災とオウム真理教事件をモチーフにしていて、けっして甘いメルヘンでも、面白おかしいコメディでもないシリアスなストーリーなのだが、このかえるくんのセリフ回しや行動が、なんとも紳士的だったり、勇敢だったり、愛らしかったり、時折ヤクザっぽかったりして独特の作品世界が出来上がっている。
しかし、アメリカ人の翻訳者がこの作品を英訳するとき、この「かえるくん」という呼称のニュアンスを、どう英語で表現すればいいのか悩んだという話を聞いて、さもありなんと思った。
このカエルという生き物ほど、「かわいい」と「気持ち悪い」の振れ幅が大きい動物も珍しいのではないだろうか。しかもその振れ幅の大きさは日本人独自の感覚のような気がする。
欧米ではカエルはみにくい、グロテスクなやつ、場合によっては悪魔の手先とか、魔女の助手とか、そういう役割を振られるケースが圧倒的に多い。
ところが日本では、けろけろけろっぴぃとか、コルゲンコーワのマスコットとか、木馬座アワーのケロヨンとか、古くは「やせガエル 負けるな 一茶ここにあり」とか、文学・サブカルチャーの中で、かわいい系・愛すべき系の系譜がしっかりと存在している。
僕が思うに、これはやっぱり稲作文化のおかげなのではないだろうか。
お米・田んぼと親しんできた日本人にとって、田んぼでゲコゲコ鳴いているカエルくんたちは、友だちみたいな親近感があるんでしょうね。
そして、彼らの合唱が聞こえる夏の青々とした田んぼの風景は、今年もお米がいっぱい取れそう、という期待や幸福感とつながっていたのだろう。
カエル君に対する良いイメージはそういうところからきている気がする。
ちなみに僕の携帯電話はきみどり色だけど、「カエル色」と呼ばれている。
茶色いのも黄色っぽいもの黒いのもいるけど、カエルと言えばきれいなきみどり色。
やっぱ、アマガエルじゃないとかわいくないからだろう。
雨の季節。そういえば、ここんとこ、カエルくんと会ってない。ケロケロ。
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この機会に、ぜひ読んでみてください。
可愛いくて、楽しくて、笑える彼ら。
奇妙で、不気味で、不思議な彼女ら。
美しくて、おぞましくて、くさくて、汚くて、
とてつもなく怖くて危険なやつらも。
僕たちはこの星の上で137万種類を超す動物たちと
いっしょに暮らしている。
イマジネーションを掻き立て、人間の世界観の大きな領域をつくってきた仲間たちについてのエピソードや、あれこれ考えたことを編み上げた、おりべまことの面白エッセイ集。
ブログ「DAIHON屋のネタ帳」から36編を厳選・リライト。
内容
・ネコのふりかけ
・おしりを拭いてもらうイヌの幸せと人面犬の増殖について
・なぜ日本ではカエルはかわいいキャラなのか?
・ウーパールーパーな女子・男子
・ヌード犬・ファッション犬
・いやしの肉球
・金魚の集中力は人間以上
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・なぜプードルもチワワもダックスフンドも“いぬ”なのか?
・見タカ、聞いタカ、朝タカ情報
・野生の本能の逆流に葛藤する都会暮らしのネコ
・いつも心にカメを
・カエルの歌が聞こえてくるよ
・四国化け猫➡猫神さま伝説
・ヘビ女・ワニ男のパワーアイテム
・バニーガールと会ったお話、そして、
女子はなぜウサギが好きなのか?
・クローン犬ビジネス
・『鳥のように自由に」と80歳になって語れるか?
・ヤモリは家守。かわいく、さりげなく守り神
・田町駅のペディストリアンデッキの鳩
・ぼくらはにおいでできている
(チワワのハナちゃんに教えてもらったこと)
・地球に生きる人間の数と、人間の適正な大きさについての疑問
・犬から、ネコから、人間から、ロボットからの卒業
・神ってるナマケモノ
ちょっと立ち読み。
「ネコのふりかけ」
もう前世の記憶に近いが、そのむかし
「劇団ねこ」という小劇団をやっていた。
なんでそんな名前を付けたのかというと、
管理社会を自由にすり抜け、何者にも縛られず、
ネコのように柔軟に生きながら、
可愛がってくれる人がいれば調子よくニャオンとすり寄り、
ごはんと寝床をせしめたい。
そんなメッセージを、演劇を通して発信しようとしていたからだ。
というのは今しがた考え付いた、まったくのこじつけだけど、
潜在的にはそんな気持ちがあったのだと思う。
劇団ねこは三〇年以上も前に消滅してしまい、座長と演出をやっていた男も十年前に死んでしまった。
けれども最近のネコのモテモテぶりに触れると、
現代を生きる人たちの心の奥底には、
冒頭に書いたような、ネコのように生きたいという思いが、
ずっとくすぶり続けているのでないかと推測する。
そして、その思いは三〇年前より
ますます強くなっているのではないかと感じる。
こんなことを言っては申しわけないけど、受験生とか、
就活している若者たちとか、その親とかの顔を見ると、
何に縛られているのかさえ分からなくなってしまって、
もう闇雲にネコ的なものを求めたくなっているように思える。
だから、絵本も写真集もテレビ番組も、ネ
コを使えばみんなが観てくれるし、
ファッションもグッズも
「ネコのふりかけ」をかければ魔法のように美味しくなる。
こんなにも身近にいながら野性を感じさせてくれ、
しかも基本的に安全。
人間に甘えてくれるけど、
そうかといって媚びているわけではなく、
独立性を保っている(少なくともそう見える)。
もはやネコは人間にとっての夢の存在であり、
希望の星と言っても過言ではない。
この先、テクノロジーが進むとともに、
人間のネコ依存症はますます深まっていくのではないだろうか。
すると何が起こるか?
そうだ、AIを搭載したネコを作ろう――という発想が生まれる。
というわけで、ネコ型ロボット・ドラえもんの誕生だ。
そうなると逆転現象が起こって、
僕たちはのび太くんのように
ネコのドラえもんに甘えるようになるだろう。
そして、ドラえもんにいろんな夢をもらうようになる。
ネコのふりかけは未来まで果てしなく効能を発揮する。
そうか「劇団ねこ」の演劇は、ドラえもんに繋がっていたのかと、前世の記憶が新たな発見を伴ってよみがえった今宵。
いずれ、ネコとロボットをテーマにしたお話を書いてみたい。
●電子書籍 AmazonKindle より販売中
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お待ちかね、おりべまこと電子書籍第6弾。
仕事が忙しくて発売が遅れましたが、
なんとか6月に発売できました。
今回は動物エッセイ集。
動物好きなあなた、ぜひ読んでみてください。
可愛いくて、楽しくて、笑える彼ら。
奇妙で、不気味で、不思議な彼女ら。
美しくて、おぞましくて、くさくて、汚くて、
とてつもなく怖くて危険なやつらも。
僕たちはこの星の上で
137万種類を超す動物たちといっしょに暮らしている。
イマジネーションを掻き立て、人間の世界観の大きな領域を
つくってきた仲間たちについてのエピソードや、
あれこれ考えたことを編み上げた、
おりべまことの面白エッセイ集。
自身のブログ「DAIHON屋のネタ帳」から36編を
厳選・リライト。
内容
・ネコのふりかけ
・おしりを拭いてもらうイヌの幸せと人面犬の増殖について
・なぜ日本ではカエルはかわいいキャラなのか?
・ウーパールーパーな女子・男子
・ヌード犬・ファッション犬
・いやしの肉球
・金魚の集中力は人間以上
・アザラシの入江でヤギの乳を搾ってチーズを作る娘
・ロンドンのリスとイヌとネコ
・ピーターラビットの農的世界への回帰現象
・京龍伝説
・失われたPTAコラムとライオンの面倒を見るコアラの話
・カエル男のスキンケロ情報
・迷子の猫とネコ探し名人ナカタさんのこと
・住宅街のヘビーなアナザーワールド
・おいらセイウチ
・カラス対ガマガエル 真昼の決闘
・ネコミュニケーションをスキルアップして、ネコから情報を取得する野望
・アポトーシスによって消失するオタマジャクシの尻尾と、
これからの人間の進化のパラドックス
・結婚記念日の花束と、ネコのいる花屋と、花を食べるネズミの話
・なぜプードルもチワワもダックスフンドも“いぬ”なのか?
・見タカ、聞いタカ、朝タカ情報
・野生の本能の逆流に葛藤する都会暮らしのネコ
・いつも心にカメを
・カエルの歌が聞こえてくるよ
・四国化け猫➡猫神さま伝説
・ヘビ女・ワニ男のパワーアイテム
・バニーガールと会ったお話、
そして、女子はなぜウサギが好きなのか?
・クローン犬ビジネス
・『鳥のように自由に」と80歳になって語れるか?
・ヤモリは家守。かわいく、さりげなく守り神
・田町駅のペディストリアンデッキの鳩
・ぼくらはにおいでできている
(チワワのハナちゃんに教えてもらったこと)
・地球に生きる人間の数と、人間の適正な大きさについての疑問
・犬から、ネコから、人間から、ロボットからの卒業
・神ってるナマケモノ
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・神ってるナマケモノ ASIN: B08BJRT873 ¥321
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本日4月11日(土)17:00から13日(月)16:59までの2日間、
「ロンドンのハムカツ/おりべまこと」の無料キャンペーンを
やっています。
あなたのひきこもり生活に、栄養満点のハムカツはいかが?
「食」こそ、すべての文化のみなもと。
その大鍋には経済も産業も、科学も宗教も、日々の生活も深遠な思想・哲学も、すべてがスープのように溶け込んでいる。
「食べる」を学び、遊び、モグモグ語る
おりべまことの面白エッセイ集。
自身のブログ「DAIHON屋のネタ帳」から厳選・リライト。
この機会にぜひ。
★収録エッセイ(33編)
・お米と田んぼとお母ちゃんのニッポン!
・お米を研ぐ理由と人間の味と匂いの話
・永遠の現物支給
・フツーのおにぎりでも日本のコメなら800円!?
・ロンドンのハムカツ
・インヴァネスのベーコンエッグ
・ニューヨーク発アボカド愛
・英国名物フィッシュ&チップスの材料にイカが選ばれるようになったグローバル化現象に関する私的考察
・フランス革命とマカロン大統領と「パンがなければお菓子を食べろ」発言の真相
・ハムカツの呪い
・脳が構築する「風味」:人間の食と世界観
・人間の歴史はチョコレート前とチョコレート後とに分かれる(かも)
・幻想やストーリーでおいしくなる日本食
・肉じゃがは幻想のおふくろの味
・なんで肉じゃがはお母さん食堂のメニューにないのか? についての探求と考察
・恐竜の唐揚げ
・キノコ愛
・スーパーマーケットをめぐる冒険旅行
・むかしのコロッケ、みらいのコロッケ、まあるいコロッケ
・ドラもんがどら焼きの売り上げに及ぼした経済的効果について
・ホントは新商品じゃないけど、新商品に見せる編集・編曲の能力
・中高年はめざせ!中川屋嘉兵衛
・「ありがとう」の思いを込めた動物供養は、世界オンリーワンの日本の文化
・「世界屠畜紀行」の「屠る」と「食べる」
・人を食った話
・「おいしいケーキは年一度」の誓いと追憶のバタークリームデコレーションケーキ
・脳が知っている、豆腐小僧の食歴と健康食
・最後の晩餐の演出
・ジャイアント馬場と大福とで創り出すアッポーな化学反応
・勤労感謝の日は農業感謝の日に
・スーパーマーケット・イン・マイライフ
・植物のいのちは人間・動物より高次元にある
・「酒タバコ、やめて百まで生きたバカ」の最後の晩餐は、雪のように真っ白なごはん
また、Amazon kindlekindle unlimited
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スマホやタブレットに無料アプリをインストールしておけば、
いつでも好きな本を好きなだけ、好きな時に読めますよ。
利用してみてください。
では、せっかくなのでここで1編試読をどうぞ。
●肉じゃがは幻想のおふくろの味
「肉じゃが作ってちゃぶだい」
ダンナやカレ氏にそう頼まれたことがある女性はどれくらいいるのだろう?
僕はおふくろもカミさんも肉じゃがが嫌いなので家で食べたことはほとんどない。おふくろの場合はもしかしたら子どもの頃、作ってくれたことがあるかもしれないけど思い出せないし、カミさんの場合は自信を持って「一度もない」と言い切れる。どうして嫌いなのか聞いたら「ジャガイモが半分煮崩れて汁や他の具材と混ざっているのが嫌」なのだそうだ。自分が嫌いなものだから作るはずがない。
と言って別に文句を言っているわけではない。僕もカレーのジャガイモやポテトサラダやフライドポテト、コロッケその他、基本的にジャガイモ料理は好物だが「おれは肉じゃがを食べた~い!と叫んだことはない。サトイモの煮っころがしは好きだけど、あの甘い醤油の汁はじゃがいもには合わないのだ。
思うに肉じゃがは日本が近代化して間もない貧しい時代、そして庶民も月に一度くらいは肉を食べられるようになった時代――明治とか大正に庶民の食卓で発展したおかずなのだ。一家のお母ちゃんがかまどの前に立ち、家族みんなで食べるには少なすぎる肉をどうやって食べるか思案し、そうだ、あのすき焼きのような味(当時は肉を使ったごちそうといえばすき焼きをおいて右に出る料理はなかった)のものにしよう、安い野菜と合わせて煮るんだ。そうだジャガイモがいい。ジャガイモを主役にすればお腹もいっぱいになるし、それにあまりものの玉ねぎやニンジンを入れて煮込めば・・・はい、出来上がり!
という感じでお母ちゃんが工夫を凝らして生まれた料理が肉じゃがなのだ。これがデン!と鉢に盛られて食卓の真ん中に置かれる。立ちのぼるほかほかとした湯気と、小さな家の中を満たす匂い。これ以上食欲をそそるものはない。
「いただきまーす!」
十人もいるような大家族がいっせいに競いあって食べる。
「こらノブオ!肉ばっかり選って食べるじゃない!」
母ちゃんのやさしく、あたたかい怒声が飛ぶ。他におかずと言えば漬物くらいしかないが肉は食えるし、ジャガイモでお腹はいっぱいになるし、今夜の家族は幸せだ。そんな時代が長く続き、肉じゃがは不動の「おふくろの味」となった。
しかし豊かになり、これだけ食べるものが豊富にある現在の日本で、この料理に強く心を惹かれる人はそんなに大勢いるのだろうか? 街の中の定食屋に入っても「肉じゃが定食」なんてお目にかかったことがない。食べるとしても副菜とか小鉢でつまむ程度で、もはやメインディッシュとなり得ない。古き貧しき日本の郷愁を具現化し、明治・大正・昭和のストーリーを背負った肉じゃが。ばあちゃんもおふくろもカミさんも誰も作らなくなったこの料理は「ファンタジー料理」「思い出料理」として今後も生き残っていけるのだろうか? その行く末をやさしく見守りたいと思う。
●おりべまこと電子書籍
Amazon kidleより販売中
・ロンドンのハムカツ ASIN: B086T349V1
・オナラよ永遠に ASIN: B085BZF8VZ
・茶トラのネコマタと金の林檎 ASIN: B084HJW6PG
・魚のいない水族館 ASIN: B08473JL9F
●アクセス
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または「おりべまこと」、または書籍名を入れてアクセス。
●スマホやタブレットで読める:Kindle無料アプリ
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●kindle unlimited 読み放題
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4月の出版は「ロンドンのハムカツ」です。
「食」こそ、すべての文化のみなもと。
その大鍋には経済も産業も、科学も宗教も、
日々の生活も深遠な思想・哲学も、
すべてがスープのように溶け込んでいる。
「食べる」を学び、遊び、
モグモグ語るおりべまことの面白エッセイ集。
自身のブログ「DAIHON屋のネタ帳」から
33編を厳選・リライト。
長い外出自粛期間。
お手持ちのスマホやタブレットにアプリを入れて
Kindle読み放題で読書に親しんでください。
ついでにおりべまことの本も覗いてみて。
内容
・お米と田んぼとお母ちゃんのニッポン!
・お米を研ぐ理由と人間の味と匂いの話
・永遠の現物支給
・フツーのおにぎりでも日本のコメなら800円!?
・ロンドンのハムカツ
・インヴァネスのベーコンエッグ
・ニューヨーク発アボカド愛
・英国名物フィッシュ&チップスの材料にイカが選ばれるようになったグローバル化現象に関する私的考察
・フランス革命とマカロン大統領と「パンがなければお菓子を食べろ」発言の真相
・ハムカツの呪い
・脳が構築する「風味」:人間の食と世界観
・人間の歴史はチョコレート前とチョコレート後とに分かれる(かも)
・幻想やストーリーでおいしくなる日本食
・肉じゃがは幻想のおふくろの味
・なんで肉じゃがはお母さん食堂のメニューにないのか? についての探求と考察
・恐竜の唐揚げ
・キノコ愛
・スーパーマーケットをめぐる冒険旅行
・むかしのコロッケ、みらいのコロッケ、まあるいコロッケ
・ドラもんがどら焼きの売り上げに及ぼした
経済的効果について
・ホントは新商品じゃないけど、
新商品に見せる編集・編曲の能力
・中高年はめざせ! 中川屋嘉兵衛
・「ありがとう」の思いを込めた動物供養は、
世界オンリーワンの日本の文化
・「世界屠畜紀行」の「屠る」と「食べる」
・人を食った話
・「おいしいケーキは年一度」の誓いと
追憶のバタークリームデコレーションケーキ
・脳が知っている、豆腐小僧の食歴と健康食
・最後の晩餐の演出
・ジャイアント馬場と大福とで創り出すアッポーな化学反応
・勤労感謝の日は農業感謝の日に
・スーパーマーケット・イン・マイライフ
・植物のいのちは人間・動物より高次元にある
・「酒タバコ、やめて百まで生きたバカ」の最後の晩餐は、
雪のように真っ白なごはん
また週末に無料キャンペーンやりますので、
お知らせします。
●おりべまこと電子書籍(小説)
Amazon kidleより販売中
・オナラよ永遠に ASIN: B085BZF8VZ
・茶トラのネコマタと金の林檎 ASIN: B084HJW6PG
・魚のいない水族館 ASIN: B08473JL9F
●アクセス
https://www.amazon.co.jp/
からコードナンバー、
または「おりべまこと」、または書籍名を入れてアクセス。
●スマホやタブレットで読める:Kindle無料アプリ
https://www.amazon.co.jp/gp/digital/fiona/kcp-landing-page
●kindle unlimited 月額¥980で読み放題
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/hz/subscribe/ku?shoppingPortalEnabled=true&shoppingPortalEnabled=true
インターネットの出現は社会を変えた――ということは聞き飽きるほど、あちこちで言われています。けれどもインターネットが本格的に普及したのは、せいぜいここ10年くらいの話。全世代、全世界を見渡せば、まだ高齢者の中には使ったことがないという人も多いし、国や地域によって普及率の格差も大きい。だから、その変化の真価を国レベル・世界レベルで、僕たちが実感するのはまだこれからだと思います。
それは一般によくいわれる、情報収集がスピーディーになったとか、通信販売が便利になったとか、というカテゴリーの話とは次元が違うものです。もっと人間形成の根本的な部分に関わることであり、ホモサピエンスの文化の変革にまでつながること。それは新しい民間伝承――フォークロアの誕生です。
“成長過程で自然に知ってしまう”昔話・伝承
最初はどこでどのように聞いたのか覚えてないですが、僕たちは自分でも驚くほど、昔話・伝承をよく知っています。成長の過程のどこかで桃太郎や浦島太郎や因幡の白ウサギと出会い、彼らを古い友だちのように思っています。
家庭でそれらの話を大人に読んでもらったこともあれば、幼稚園・保育園・小学校で体験したり、最近ならメディアでお目にかかることも多い。それはまるで遺伝子に組み込まれているかのように、あまりに自然に身体の中に溶け込んでいるのです。
調べて確認したわけではないが、こうした感覚は日本に限らず、韓国でも中国でもアメリカでもヨーロッパでも、その地域に住んでいる人なら誰でも持ち得るのではないでしょうか。おそらく同じような現象があると思います。それぞれどんな話がスタンダードとなっているのかは分かりませんが、その国・その地域・その民族の間で“成長過程で自然に知ってしまう”昔話・伝承の類が一定量あるのです。
それらは長い時間を生きながらえるタフな生命エネルギーを持っています。それだけのエネルギーを湛えた伝承は、共通の文化の地層、つまり一種のデータベースとして、万人の脳の奥底に存在しています。その文化の地層の上に、その他すべての情報・知識が積み重なっている――僕はそんなイメージを持っています。
世界共通の、新しいカテゴリーの伝承
そして、昔からあるそれとは別に、これから世界共通の、新しいカテゴリーの伝承が生まれてくる。その新しい伝承は人々の間で共通の文化の地層として急速に育っていくのでないか。そうした伝承を拡散し、未来へ伝える役目を担っているのがインターネット、というわけです。
ところで新しい伝承とは何でしょう? その主要なものは20世紀に生まれ、花開いた大衆文化――ポップカルチャーではないでしょうか。具体的に挙げていけば、映画、演劇、小説、マンガ、音楽(ジャズ、ポップス、ロック)の類です。
21世紀になる頃から、こうしたポップカルチャーのリバイバルが盛んに行われるようになっていました。
人々になじみのあるストーリー、キャラクター。
ノスタルジーを刺激するリバイバル・コンテンツ。
こうしたものが流行るのは、情報発信する側が、商品価値の高い、新しいものを開発できないためだと思っていました。
そこで各種関連企業が物置に入っていたアンティーク商品を引っ張り出してきて、売上を確保しようとした――そんな事情があったのでしょう。実際、最初のうちはそうだったはずです。
だから僕は結構冷めた目でそうした現象を見ていました。そこには半ば絶望感も混じっていたと思います。前の世代を超える、真に新しい、刺激的なもの・感動的なものは、この先はもう現れないのかも知れない。出尽くしてしまったのかも知れない、と……。
しかし時間が経ち、リバイバル現象が恒常化し、それらの画像や物語が、各種のサイトやYouTubeの動画コンテンツとして、ネット上にあふれるようになってくると考え方は変わってきました。
それらのストーリー、キャラクターは、もはや単なるレトロやリバイバルでなく、世界中の人たちの共有財産となっています。いわば全世界共通の伝承なのです。
僕たちは欧米やアジアやアフリカの人たちと「ビートルズ」について、「手塚治虫」について、「ガンダム」について、「スターウォーズ」について語り合えるし、また、それらを共通言語にして、子や孫の世代とも同様に語り合えます。
そこにボーダーはないし、ジェネレーションギャップも存在しません。純粋にポップカルチャーを媒介にしてつながり合う、数限りない関係が生まれるのです。
また、これらの伝承のオリジナルの発信者――ミュージシャン、映画監督、漫画家、小説家などによって、あるいは彼ら・彼女らをリスペクトするクリエイターたちによって自由なアレンジが施され、驚くほど新鮮なコンテンツに生まれ変わる場合もあります。
インターネットの本当の役割
オリジナル曲をつくった、盛りを過ぎたアーティストたちが、子や孫たち世代の少年・少女と再び眩いステージに立ち、自分の資産である作品を披露。それをYouTubeなどを介して広めている様子なども頻繁に見かけるようになりました。
それが良いことなのか、悪いことなのか、評価はさておき、そうした状況がインタ―ネットによって現れています。これから10年たち、20年たち、コンテンツがさらに充実し、インターネット人口が現在よりさらに膨れ上がれば、どうなるでしょうか?
おそらくその現象は空気のようなものとして世の中に存在するようになり、僕たちは新たな世界的伝承として、人類共通の文化遺産として、完成された古典として見なすようになるでしょう。人々は分かりやすく、楽しませてくれるものが大好きだからです。
そして、まるで「桃太郎」のお話を聞くように、まっさらな状態で、これらの伝承を受け取った子供たちが、そこからまた新しい、次の時代の物語を生みだしていきます。
この先、そうした現象が必ず起こると思う。インターネットという新参者のメディアはその段階になって、さらに大きな役割を担うのでしょう。それは文化の貯蔵庫としての価値であり、さらに広げて言えば、人類の文化の変革につながる価値になります。
2016年6月13日
男の持ったトランクの蓋が何かのはずみにパカッと開くと、中から何十個もの赤いリンゴが舞台いっぱいにゴロゴロと転がった。呆然としてそれを見る男。トランクの中には○億円の黄金のリンゴが詰め込まれていたはずなのに・・・。
そんなシーンが最初に頭に浮かんで、そこにいたるストーリーはどんなものか、あれこれ考えて芝居を作ったことがあります。
いくら上等でおいしいリンゴがトランクいっぱいに入っていたとしても貨幣価値は――たとえば500円×20個として――せいぜい1万円。
僕たちが暮らしている、経済を中心とした生活圏では、○億円の金塊のリンゴのほうが価値が高いのは言うまでもありません。
けれども人によって、あるいは状況によって、その価値は変わってしまいます。
経済の意味がよくわかっていない子供にとっては、ただキラキラしていてきれいなリンゴよりも、食べられるおいしい赤いリンゴの方が価値が高いに決まっています。
大人でも砂漠とか荒野で飢え死にしそうな状況であれば、やはりおなかを満たせるリンゴの方を選ぶでしょう。
捉え方の軸を変え、リンゴが何を表すのか考えてみます。
黄金の林檎は精神的な理想――夢とか希望のシンボル。
一方、赤いリンゴは毎日の現実の生活のシンボル。
そんなふうに捉えることもできます。
精神の高さ―経済の豊かさ―生活の幸福感。
それぞれの価値観のフィールドを、僕たちは絶えず行ったり来たりしながら毎日生きています。
自分にとって価値のあるものが、他の人にとっても価値があるとは限らない。その逆もまた然り。
そしてまた、昨日価値のあったものが、今日も同じ価値があるとは限らない。
そうしたことを考えるとき、僕はかつて自分で書いた、この黄金の林檎の物語と、その中でジタバタしていた登場人物たちを、かけがえのない友達のように思い出すのです。
ことさら出来の良い子供(作品)ではなかったけれど、その後の人生や仕事のテーマになっていて、とても役に立っていたり、助けられていることに気が付きました。
トランクに詰め込んだ林檎は、やはり僕にとって「黄金の林檎」なのだと思います。
Good Morning。GWスペシャル。
以前、「ロンドンのハムカツ」という話を書いたので、今度はその姉妹編を書きました。
ブログにしてはちょっと長い、小説のような、エッセイのようなお話です。
真っ白なブラウスに真っ白なエプロン。
金色の髪に琥珀色の瞳。齢はおそらく15か16。中学生か高校生ぐらいだろう。
けっして美人ではないけれど、愛嬌のあるファニーフェイス。
何よりも白い肌に映えるリンゴのような真っ赤なほっぺが可愛らしい。
彼女は「わたし、アマンダと言います」と自己紹介してくれた。
そして、ダイニングのテーブルに着いたぼくの前に、湯気の立つ焼きたてのベーコンエッグの皿を運んできた。
香ばしいにおいが鼻をくすぐる。
そのにおいとともに、彼女が少し緊張気味であることも伝わってきた。
あまり接客に慣れていないようだ。
なんとなく動きがぎこちない。
もしかしたら泊り客に食事をサーブするのは初めてなのかもしれない。
口元に湛えた微笑みも心なしかこわばっている。
ぼくは自分が池袋の喫茶店で初めてアルバイトをした時のことを思い出した。
黒い蝶タイで首が締めつけられていたせいか、ひどく息苦しかった。
コーヒーカップがソーサーの上で小刻みに震え、カチカチ音を立てているのがやたらと大きく耳に響いた。
客は男だったか女だったか、若かったか齢を取っていたのか、まったく憶えていない。
そんな顔のわからない客が、じっとぼくの動きをいぶかしげに観察していた。その視線だけがよみがえってくる。
彼女も同じことを感じているのだろうか?
せっかく一生懸命やっているのに、それではちょっと気の毒だなと思い、とりあえず「ありがとう、アマンダ」と、お礼を言った。
きっと彼女は「どういたしまして」と返そうとしたのだろう。
しかし、微笑みを湛えたたまま唇がうまく動かせない。
そこまで余裕がないようだ。
そこでぼくはもうひとこと付け加えた。
「きょう、ぼくはネッシーに会いにここまで来たんだ」
その時代、ネッシーは人々の心の中に実在していた。
子供の頃、「世界のふしぎなんとか」という本を読んでから、ぼくの中でもその影が消えたことはない。
イギリスに来て、秋が過ぎ、冬が過ぎ、春がめぐってきた。北にあるスコットランドも5月の声を聞いて、やっと春めいてきたという。
だからぼくはレストランの仕事を3日間休み、ロンドンからこのインヴァネスを訪れたのだ。
インヴァネスはネス湖のすぐ近くにある町で、ぼくが宿にしたこのB&B(ベッド&ブレックファースト=イギリスの民宿)は、町の中心からちょっとだけ外れた、ネス川のほとりに佇んでいた。
周囲の緑に溶け込んだ、田舎風だが、おしゃれな家だ。
夜、シャワーを浴びたあと、ベッドの上にごろんと横になると、しじまの中から水の流れる音がさやさやと聞こえてきた。
ネス湖に注ぎ込む水がささやきかけている――そんなふうに感じた。
するとぼくの頭に、明日、実際に起こるかもしれないネッシーとの遭遇シーンが浮かび上がった。
どんよりと重く垂れこめた雲の下、濃い霧が出て、湖はミステリアスな雰囲気に包まれている。
湖畔を歩いていると、湖の真ん中でにわかに水面がざわざわと波立った。
あっと思ってその場所を見る。
水中からなにか黒い大きなものが現れたかと思うと、するするとそれが灰色の中空に伸びていき、弧を描いた。
その長い首の持ち主はそこでひとつ、咆哮を轟かせた。
自分ははるか昔の地球の子供であることを、ぼくたち人間に知らしめるように。
そして、この惑星の何億年という時の堆積の上に、今の人間の暮らしがあることを訴えるかのように。
その映像と音声は、目を覚ましたまま想像を巡らせているのか、それとも眠りに落ちて夢を見ているのか、自分でも判然としなかった。
ぼくはそんなふうにインヴァネスでの最初の一夜を過ごしたのだ。
「そうですか。ネッシーに会えるといいですね」
アマンダはそう言って、ひと息ついた。
そしてまた、にっこりと微笑みなおした。
少しはにかみ気味ではあるものの、今度のはこわばりが溶けた自然な微笑みだった。
心からそう願っている、ぼくの幸運を――
それがひしひしと伝わってくる。
そして、「トーストやコーヒー、紅茶は何杯でもお代わりできますよ」と言った。
食事がまずいと言われるイギリスだが、朝食は別だ。
アマンダにサービスされたボリュームたっぷりのベーコンエッグ。
それにはソーセージもついているし、焼いたトマトやマッシュルームも添えられている。
それにもちろん、トーストにはバターとマーマレードをたっぷり塗ることができる。
あまりにおいしく、また、ボリューム満点で、ぼくは朝からおなかを満たし、心の底から満足した。
美しい朝の光がダイニングルームの窓から注いでいる。
ネス川のせせらぎに混じって、小鳥のさえずる声が聞こえてくる。
やわらかなそよ風が吹き、庭の花も一段と鮮やかに色づく。
地面から、空中から、春の暖かさがあふれ出してくるようだ。
その日のインヴァネスは昨夜の夢想、そして、ぼくが子供の頃から胸に抱き続けていたミステリアスなネス湖のイメージとは、あまいにもかけ離れたものだった。
「ぜひ、ネッシーに会ってくださいね」
出かけるとき、アマンダは玄関でぼくを見送りながら、もう一度、そう言ってくれた。
「うん、期待してるよ」
彼女にはそう言いながらも、ぼくにはわかっていた。
ぼくはきっとネッシーに遭遇することはないだろう。
なぜなら、ぼくのインヴァネスとネス湖に対する印象は、その時すでにまったく変わってしまっていたから。
こんがり焼けたベーコンエッグ。
それを運んできてくれた女の子。
そのリンゴのような赤いほっぺと、ちょっとはにかんだような愛らしい微笑み。
長い首を持った、太古の地球の子供は、昨夜の夢想を最期に、もう過去のものになりかけていた。
空は青く澄みわたり、遅れてやってきた春があたりにさざめいている。
その後ろから夏もくっついてやってくる。
そんな気持ちにもさせられる5月の朝。
ぼくは麦わら帽子をかぶり、ゴールデンピクニックにでも出かけるような気分で、ネス川に沿って湖に向かって歩いて行った。
今でも鮮やかによみがえる小さな旅。
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