「傷だらけの天使」は昭和の天使の物語

 

「傷だらけの天使」は、

おそらく現在の60代から70代前半の男性の多くが、

ディープにハマったドラマだろう。

 

1974年10月から75年3月まで半年間、

毎週土曜日、日本テレビで放送された。

 

主役の小暮修(オサム)は、

表の社会と裏社会とを行き来しつつ、

やばい仕事で荒稼ぎをする「綾部調査事務所」の調査員。

と言えば聞こえはいいが、

実態はチンピラ探偵といったような風体の若い男。

これをショーケンこと萩原健一が演じる。

そしてその弟分であり、仕事の相棒・乾享(アキラ)の役が、

人気ドラマ「相棒」の杉下右京=水谷豊だ。

 

この半世紀前のドラマが、

AmazonPrimeで配信されているので見ている。

作品紹介は以下の通り。

 

ビル屋上のペントハウスに住み、

探偵事務所の下働きをする修(萩原健一)と、

彼を「アニキィ!」と慕う亨(水谷豊)。

修の貧乏生活を知る探偵事務所のボス、

貴子(岸田今日子)とその手下、辰巳(岸田森)は、

金をエサに彼らに毎回無茶苦茶な仕事を押しつける。

割に合わないと思いつつも、

がむしゃらな修は命懸けで危険な仕事に飛び込んでいくのだが、

根っからの善人で単細胞なゆえに、

仕事も思わぬ方向へ暴走してしまう。

笑いあり、涙あり、お色気ありで展開するストーリーには、

息をもつかせぬスピード感がみなぎっている。

 

どうやらコロナの時期から配信していたらしいが、

気が付かなかった。

またハマったらどうしようと思って恐る恐る見たが、

やっぱりハマってしまった。

 

脚本も演出も撮影も演技もメチャクチャで、

聞き取れないセリフもいっぱいいある。

だけど、やっぱり面白いし、イカしている。

泣いてしまうし、考えさせられる。

そして、「ああ、おれはやっぱり死ぬまで

傷天の世界から抜け出せない」と再認識した。

 

決してノスタルジーを感じたわけではない。

むしろ逆で、50年たった令和の今見るからこそ、

違った傷天の魅力が見えるのだ。

これについては、とても1回や2回では書けないので、

これからしばらく折に触れて書いていこうと思う。

 

今日、一つだけ書いておく。

今までこのドラマのタイトルを意識したことがなかったが、

今回、昭和から遠く離れた地点から見ると、

オサムとアキラは、

まんま「傷だらけの天使」なんだなということがわかる。

二人は人間世界に降りてきたエンジェルであり、

あのバカかげんは、

人間世界における天使のふるまいなのだ。

 

そういう視点で見ていくと、

ハードボイルドともコメディとも昭和残酷物語ともとれる、

この探偵ドラマが、一種のヒューマンファンタジーとして、

新鮮な輝きを帯び始める。

そして、なんで俺はこんな世界で生きているのだろうと、

大いなる疑問にとらわれるのだ。

 

「なんのこっちゃ?」と思うでしょうが、

また、おいおい書いていきます。