踊りに性別は関係ない。
誰でも踊っていいんだけど、
男はある年齢を過ぎると、踊らなくなる。
(人それぞれなので、あくまで一般論だけど)
ところが、女はいくつになっても踊る。
年齢は関係ない。
というのは、昨日、女性の友だちが
ダンス公演に出るからとお誘いを受けたので、
割と近所なので、自転車を飛ばして観に行ってきた。
場所は甲州街道沿い。
下高井戸と桜上水の間あたりにある
「G-ROCKS」という音楽スタジオである。
こんなところにこんな施設があるとは知らなかった。
ダンスというのはアフリカンダンス。
西アフリカにあるマリの民俗舞踊である。
(公演用にいろいろアレンジしているらしい)
アフリカンダンスはエネルギッシュで好きだが、
正直、マリもガーナもケニアもナイジェリアも
区別がつかない。
かつては他のアフリカ諸国同様、
フランスの植民地だったが、1960年に独立。
「マリ」とは国語である
バンバラ語で「カバ」という意味で、
首都バマコにはカバの銅像があるという。
どういう経緯で、かの国の音楽家・踊り手たちが
日本にやって来て根付き、
文化の伝達者になったのかは定かでないが、
世界的なワールドミュージックの広がりと
関係があるのかもしれない。
英米のロックミュージシャンたちの多くが
1980年代頃から、アフリカの音楽に魅せられ、
積極的に自分たちの楽曲にも取り入れるようになった。
こうした音楽ビジネスの隆盛によって、
アフリカンリズムやアフリカンダンスが
日本にも紹介されるようになり、愛好家も増えたようだ。
今では各国の音楽や文化を教える教室が
都内のあちこち(おそらく他の地域にも)あるらしく、
友だちが通っているのも、そうした教室の一つらしい。
なぜ、ガーナでもケニアでもナイジェリアでもなく、
カバのマリだったのかはわからないが、
これも「ご縁」というのものかもしれない。
司会役でもあり、歌も歌うダンスの先生は
マリ人(?)のお姉ちゃんで年齢不詳。
その生徒さんたちは、わが友をはじめ、
大半が高齢の女性。
たぶん浴衣を着て盆踊りをしていたら、
近所のおばちゃん・ばあさんといったところだが、
デザインされた民族衣装をまとって、
激しく体を動かすマリダンスをやっていると、
なんだかアフリカの民話に出てくる精霊の類に見える。
みんな、実に楽しそうに踊る。
その顔を見ていて何に似ているのかと考えていたが、
今日、近所の公園を散歩していて、
夢中になって遊んでいる女の子たちに遭遇し、
そうだ、こんな弾けるような笑顔に
似ているのだと思い至った。
ここで踊ることになるまで、
皆さんがどういう人生を歩んできたのかは
僕には知る由もないが、
せっかくここまで生き延びたのだから、
思い切り楽しんでしまおうという気概が感じられた。
失礼な言い方かもしれないが、
妻なり、母なり、愛人なりの務めを終えて、
もうセクシーであり続ける必要はないという意識が、
彼女らを良い方向へ解放している面もあると思う。
遊ぶ子供と踊る高齢女性の共通項は、
セクシーでいなくちゃという女の義務感と
社会人としての責任から自由なことだ。
もちろん、いくら齢をとっても
社会人であり続けているわけだが、
男がいくつになっても、
長年身に着けてきたプライドや役割から
逃れられないのに比べて、
最近は、女の方が第3・第4の人生を
楽しめる傾向が強くなっていると思う。
上手いか下手かなんて、どうでもよくて、
見ている側がちょっと笑っちゃえるくらいでいい。
死ぬまで笑って踊って、
かつまた、それで人を笑わせられたら、
それが最高である。
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