龍神様の水を飲むと、どんな病気でも治ってしまうそうな。
んだで、おら、母ちゃんに頼まれて、
箱根の山まで龍神様に水もらいに来ただ。
昔ばなしの孝行息子よろしく、
九つの頭を持つ龍が吐き出す
「龍神水」を汲むだけのために箱根までやって来た。
頼んだのは母ちゃんでなく、カミさんだけど。
——というのは半分うそで、
「月曜に箱根に取材に行くよ」と言ったら、
「じゃついでに箱根神社に行って水汲んできて」
と言われたのだ。
この箱根神社(九頭龍神社)は芦ノ湖のほとり。
バスと歩きで小一時間掛かったが、
朝から出かけて昼過ぎには仕事が終わったので、
ちょっと足を伸ばして出かけてきた。
水筒1本とペットボトル2本に「龍神水」を詰める。
なんでもこの水、開運の水らしい。
辰年ももうすぐ終わりだし、
この辺で運気を上げておくと、
いいことあるかもしれない。
元箱根港のバス停(土日ならその一つ手前に
「箱根神社入口」があるが、平日は通過)から
芦ノ湖沿いにてくてく行って鳥居をくぐり、
まっすぐ進んで右手が89段の階段。
箱根神社につながるこの階段を登ると
「厄(89)落とし」ができるらしい。
階段を上り切ったところにあるのが、箱根神社本殿。
その横にあるのが、九頭龍神社新宮で、
2000年、わずか24年前に出来たばかりの新しいお宮だ。
九頭龍神社の本宮はここから3キロあまり離れていて、
けっこう歩くし、時間がないと行けない。
そんな箱根の観光客のニーズに応えて(?)
こちらの境内に新宮が建てられたという。
そんなご都合主義でいいのか?
と、ちょっと疑念も湧いたが、
ここでブレててもしかたがない。
「龍神水」は箱根山から湧き出ている霊水で、
”口にすることで不浄を洗い清めてくれる”といわれている。
恋愛運、家内安全・開運につながると大人気。
と、スピリチュアル系のサイトに書いてあったが、
この日、水を汲んでいるのは僕ひとり。
次々と容れ物を取り出して、水を智めていく様子を、
回りで東南アジア系の観光客が、
ぽかんとした顔で眺めていた。
ちなみに平日の箱根は外国人観光客もりもり。
日本人は3割から、せいぜい4割くらいか。
今年も残りひと月半を切った。
初詣に行く前に、龍のいるところに行って、
締め詣でをしておくといいかもよ。
というわけで、龍神水はまだ冷蔵庫に眠っている。
せっかくわざわざ汲んできたありがたいお水なので、
使うのがもったいない。
と言って死蔵させてしまうのが一番もったいないので、
明日、手を合わせていただきます。
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