自己啓発の弊害が蔓延する世のなか

 

競争社会の中でまじめな人、

がんばる人、向学心がある人ほど、

だまされたり、ひどい目に遇いやすい。

 

あなたは政府やら大企業やら、

世のなかの権力者の言うことに騙されているのです。

または昭和時代の大人が言っていた

常識に縛られているのです。

 

『そんなうまい話があるわけない』

『ラクして儲けられるはずがない』

『汗水たらして働くことをバカにしてはいけない』

というやつです。

これらはみんなウソか、時代遅れの人生訓です。

それに縛られている限り、人生はどん底のままです。

 

わたしたちはそうした呪縛から自由になり、

いまや月○百万円に稼ぐことに成功しています。

あなたはいつまで労働搾取され続けるのですか?

いつまで奴隷の身分に甘んじているのですか?

さあ、私たちと一緒に自由になって稼ぎましょう!」

 

と、人生のどん底から這い上がったとかいう

逆転サクセスストーリーを持つ人たちの、

こんなメッセージをちょくちょく目にする。

 

この20年あまりの間、

世の中に大量の自己啓発本、自己啓発セミナー、

また、それらに関連するネット情報が出された。

 

そのなかには、あなたは政府やら大企業やら、

社会の権力者に騙されている、

と警鐘を鳴らすものが少なくない。

 

それ等の元ネタに悪意はないのだろうが、

歪めて解釈してしまっている人は

大勢いるかもしれない。

そうした概念を頭に入れて、

世の中の情報を見るようになった。

 

搾取とか、奴隷とか、刺激的な言葉は印象に残る。

自分は大切な情報を知らないがために

大損している愚か者なのだ。

なんとか逆転しなくては。

そう考える人たちが大勢生まれてしまったのではないか?

 

投資サギやインチキマルチなどに引っ掛かって

大金をだまし取られたり、

人生半ば放棄して闇バイトをやっちゃう人たちの中には、

そうした「愚か者の大逆転」をもくろむ大人、

さらにその子供が大勢いるような気がする。

 

世の中の仕組みの真実を知るのは容易ではない。

たしかに僕たちは誰かに搾取され、

奴隷にされている部分があるのかもしれない。

そう考えて発奮するのはいいが、

またそこでだまされたり、

自己放棄、人生放棄しては、愚か者二乗である。

 

そうならないためには、お金以外の分野の

価値観を作ることしかないように思う。

それが何なのかは人それぞれだから、

ひとりひとりが自分にとって何が一番大事なのか

考えるしかないけど、

勝ち負けとか、金持ちか貧乏人かとかの

二元論にこだわっていると、

頭がおかしくなって、ろくなことにならない。

 

負けてもいいとか、夢なんか諦めてもいいとか、

資本主義社会のなかで自由に生きるとか、

ちがった意味での自己啓発をしていこう。