小学校の演劇発表会の話

 

演劇をやっていたので、むかしは演劇をよく見た。

しかし最近は、

・義母の介護・面倒で、

仕事以外ではめったに家をあけられない。

・観劇料が高い。

・その割に面白くない。

あるいは面白い芝居が少ないように思える。

 

3つの理由で、劇場に足を運ぶことは

年に1,2度しかない。

 

とは言え、演劇には人一倍興味がある。

受け持つ生徒の顔と名前を一発で覚えるという

離れ業をやったのにもかかわらず、

5年生女子から「キモ先生」と言われて

意気消沈してしまった小学校の臨時教師Kくんは、

この秋、演劇発表会の演出をやっている。

 

彼は大学時代、サークルで演劇をやった経験があるので、

それにもとづき、5年生相手に腹式呼吸やら、

舞台に立った時の目線のことなど、

ビシバシ指導をしているというのだ。

 

上演する芝居の内容はよく聞いていないが、

小学校なので、もちろん全員参加。

ただ、役者をやりたくない子は、

裏方でもOKなので、

照明や小道具係などを希望するらしい。

 

登場人物は村人1、2.3・・・みたいな役が多く、

あまり目立ちたくない子は、やはりこれらを希望。

でも、こういう機会に超積極的な、

自己主張の強い子は必ずいる。

このテの子ども、スポーツ分野は男子が多いが、

演劇などの文化・芸能系は、圧倒的に女子だ。

 

話を聞くと、どうやら主役は女の子で、

魔法を使えるお姫様うんぬんと言っていたので、

「アナ雪」みたいな話なのだろうか?

やる気満々、「あたしはスターよ」

みたいな女の子が3人、

クラス内オーディションで選ばれた。

 

面白かったのが、女の子の役なのに、

主役の立候補者の中に、男の子がいたという。

僕たちの時代には考えらえなかった。

なかなか勇気のある子だ。

 

彼はセリフも演技もけっこううまかったようだが、

プロの世界ならいざ知らず、

学校教育の一環である演劇発表会で

ヒロイン役に男の子を配役するわけにはいかない。

残念ながら、彼は落っことされて、

村人1、2.3・・・にされてしまったようだが、

どんな子なのか、なんだかとても気になった。

 

小学5年生の演劇発表会。

どんな役を希望するのか、

どんな役・どんな係に就くのか、

何かその子のこれからの人生を

暗示しているようにも見える。

 

もちろん、この時点ですごく引っ込み思案で、

村人1をやっていた子が

数年先に突如覚醒し、大スターになったり、

照明係をやっていた子が

そのままメカ系の道でイノベートして

有力ベンチャーになったりとか、いろいろあり得る。

 

勉強やスポーツの場とは違う、

可能性の舞台が、演劇の場には広がっている。