「せんせー、キモっ!」

 

小学校で臨時教師をしているK君は、

先日から5年生を担当することになった。

彼は1回会っただけで、

クラス全員の顔と名前を覚えられるという特技の持ち主。

大人の社会では優秀な人、

もちろん、学校の先生としても優秀と認められるはず。

だが、男子は「「せんせー、スゴっ!」

と、素直に賞賛してくれたが、

女子は「せんせー、キモっ!」

 

たしかに一発で30人余りの

顔と名前を記憶できる能力は、

執念とか執着心とか、

ちょっと異常性の強い気質と結びつくのかもしれない。

驚異だけでなく、脅威の目で見られたのだろうか?

 

この年頃は女の子の方が成長が早く、

大人にリーチしている。

男の子は単純にその人の能力を評価するだけだが、

女の子はどうも、それを通り越して、

その人の人間性全体を見抜く力があるのかもしれない。

 

「おまえ、変態×オタク×ストーカー野郎と

みられたんじゃねーの?」

と、冗談交じりで言ったら、

K君、ちょっと動揺していた。

 

僕は彼を頭脳明晰な好青年だと思っているが、

少なくとも大谷選手的な

明るいスポーツマン風ではない。

それに大半の男は、何かのきっかけで、

変態、オタク、ストーカーになる可能性は持っている。

おそらくそこを突かれての「キモっ!」なのだろう。

 

それにアニメやマンガなどの影響で、

日本は世界一のロリコン大国になっている。

ふだん生活していると、気が付かないが、

リアルでも、バーチャルでも、

巷にこれだけかわいい美少女が溢れている国は、

世界のどこにもないだろう。

じつはそれが日本の観光資源の一つになっていて、

オタクな外国人旅行者を引き寄せてもいる。

 

たぶんこうした環境が

彼女らの心に微妙に影響を及ぼしているのではないか。

というのが僕の見立てである。

 

いずれにしてもK君には

この生意気な女の子たちにめげず、

なんとか手なずけて

先生としてがんばってほしい。

そして、くれぐれも本物の変態に変身しないことを

祈っている。