猛暑続きで一向に涼しくなる気配がない。
それでもひと月ほど前のことを思うと、
夜明けは遅くなり、日暮れは早くなってきた。
セミの合掌のなかに、
ツウツクホウシの声が混じるようになり、
朝晩はマツムシだか、スズムシだかの
秋の虫の鳴き声も聞こえてくる。
お盆休みが終わり、また、
夕方には風がちょっとだけ涼しさを運んでくることもあり、
近所の公園にも子どもたちの姿が戻って来た。
夏休みも後半になり、残りの日数が気になり始める頃だ。
夏休みなんて関係ない齢なので、
「こんなクソ暑い夏、早く終われ」と思っていたが、
子どもの頃の習性が残っているせいか、
この時期の空気を感じると、
逝く夏を愛おしむ気持ちが芽生え、
ちょっとした切なさを感じる。
夏休み後半は、実際の残り日数よりも、
気持ちの上での残り日数が少ない。
同じ2週間でも、
前半に比べてせいぜい半分の1週間程度にしか思えず、
遊びも宿題も、あれやってない、これもまだと、
つい焦ってしまうのだ。
人生も同じで、10代・20代の頃、「10年」なんて聞くと、
気が遠くなるような時間に思えたが、
後半(一般的には40過ぎから?)はめっちゃ速い。
特に還暦を過ぎるとますますスピードアップする。
「人生100年」なんて言ってるけど、
残り時間がまだ30年も40年もあるなんて
考えるのは大まちがい。
還暦を超えたら、人生の残り時間は
10代・20代の頃のせいぜい5,6年ではないだろうか。
多くても10年に満たない。
そう思って生きようと思う。
実際は人生いつまで分からないが、
何かがんばってやろうと思ったら、
「残り時間はMAXでもあと10年」。
そう考えた方がきっとより良く生きられる。
命尽きて、道端にコロコロ転がった
アブラゼミを見てそう思った夏の1日。
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