サミットのメンチカツを食べて考えたこと

 

サミットのメンチカツが好きだ。

スーパーの総菜はめったに買わないのだが、

サミットのメンチカツは別格である。

この2週間の間に3回も買ってしまった。

 

むかしからメンチカツがうまいと評判で、

いつも行列ができている都内某有名肉屋の

メンチカツに引けを取らない。

某有名肉屋のは、結構いいお値段がするので、

コストパフォーマンスを考えると、

サミットのメンチカツは勝っている。

(ただし、最近値上げした)

 

今日の昼食は、このメンチカツに

中濃ソースをドバっとかけ、

からしをちょこっとつけて食べる。

付け合わせは、レタスとキャベツと

玉ねぎスライスとプチトマトとサラダ豆。

暑さにやられないよう、もりもり食べる。

 

ここのところ、

「サミットのメンチカツが食べたい」という欲求が、

絶えずおなかのなかに渦巻いているのを感じていた。

なぜだろうと考えてみると、思い当たることがあった。

 

それまでもサミットのメンチカツは好きだったが、

買うのはせいぜい2週間に一度くらい。

それで確か7月末頃だったと思うが、

「昼めし作るの面倒だし、

久しぶりにメンチカツでも食うか」と思って

惣菜売り場にいったところ、どこにもない。

 

サミット西永福町店は、

いつも必ず、総菜売上ナンバーワン

(かどうかは店の人に来たわけではなので知らないが)の

メンチカツを切らさず揃えているのだが、

僕が買いに来たその日に限って「ない」のだ。

なぜだ? なぜない?

 

店の中を端末を手に、

いかにも「新入りです」

というオーラを漂わせて

ウロウロしていたおねえさん

(注:たぶん主婦パートの中年マダム)を捕まえて、

上記のことを訴える。

 

カスハラじみた言い方ではなかったと思うが、

彼女はえらく恐縮して調理室に飛び込んでいく。

約3分後。

彼女ともう一人、総菜の担当者らしき女性がやってきて、

やはりまた恐縮しながら説明する。

 

それによると、メンチカツは現在リニューアル中で、

(その日から)5日後に再登場するため、

しばらく店頭に出せないとのこと。

 

いつもあると、特に欲しいと思わないが、

「ない」と言われると、欲しくなるのが人間である。

「ばかやろう、メンチカツ持ってこい!」と、

心の中でほえたが、善良なる市民として、

そんな感情を表に出すわけにはいかない。

「そうですか、どうもありがとう。

また来ます」と、にこやかに言って、

その場をあとにした。

 

その抑えた感情が、まだ胸の中に残っており、

サミットに行くと条件反射的に、

脳から(それとも胃袋から?)

「メンチカツ」という信号が送られてくるのである。

 

さて、「よりおいしくなりました」という触れ込みのもと、

リニューアルして再登場したメンチカツだが、

それほど「おいしさUP」は実感しない。

量はちょっと増えたっぽく、

若い頃ならいざ知らず、

還暦越えの僕には1個で十分なボリュームだ。

ただ、リニューアルの名のもと、15%ほど値上がりした。

だけど、おいしいので許せる。

 

さて、今回のメンチカツの件で考えたことがある。

それは「人間の食欲・食味の嗜好性は、

どこからやってくるのだろう?」ということ。

 

たとえば、子どもの頃、嫌いで食べられなかったものが、

大人になったら好きになるのは、なぜか。

 

逆に若い時には好きだったのに、

齢を取ったら食べられなくなるものがあるのは、なぜか。

 

そこには消化器の機能や代謝機能など、

生体の科学的な理由に加え、

その食べ物に対する感情面の変化、

イメージの変化など、心理的な理由も混じってくる。

 

いわば、毎日の生活の歴史そのものが、

食欲や食の嗜好性に反映されているのではないか。

 

僕たちは毎日なにかしら食べている。

意識しないが、それらは僕たちの身体はもちろん、

心をつくる要素になっていく。

僕にとって、食は大いなるミステリーである。

そんなことを考えつつ、

また来週、サミットのメンチカツを食べて

そんなことに考えを巡らせたいと思う。

 

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