原爆記念日と遠い昭和と平和

 

「広島に原爆を落とす日」

「戦争で死ねなかったお父さんのために」

 

1970~80年代、昭和の終わりに活躍した

劇作家つかこうへいは、

戦争を体験した世代への歪んだ劣等感を原動力に

芝居をつくっていた。

 

彼の芝居は奏でる自虐的な笑いと、深い哀しみ、

そして胸を震わせる感情は、

僕らと前後の世代の共感を生みだした。

 

つかの代表作には

「熱海殺人事件」や「蒲田行進曲」を挙げられ、

上記の戦争をテーマにした作品は

語られることが少なくなった。

 

僕たちが若い頃感じた、

戦争体験世代に対するコンプレックスは

たぶん今の若い人たちには理解できないだろう。

 

広島に原爆が投下されて79年。

時間は容赦なく記憶のリアイティを奪い取る。

直接戦争を知らない僕たちでさえ、そう感じる。

 

戦争のことも原爆のことも次世代に伝えられるとは思う。

しかし、その一方で、

原爆を落としたアメリカの支配・庇護のもとに

豊かな暮らしを送ってきた日本人は、

特に戦争の当事者でない、8割がたの日本人は、

昭和の頃と同じように「核廃絶」を叫べるのだろうか?

 

ロシアや北朝鮮、中国の動きを見て、

「核の抑止力は要らない」と言えるのだろうか?

と思う。

 

若い世代にそう問われたら、何も言い返せないだろう。

毎年のことながら、広島・長崎の原爆記念日にあると、

胸に苦いものが渦巻く。