おりべまこと電子書籍
週末の懐メロ 第5巻
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20世紀ポップミュージック・昭和歌謡に関する与太話を
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21世紀を生きる糧となるお宝発掘作業の
ガイドブック的エッセイ集。
もくじ
116 カラーフィルムを忘れたのね/ニナ・ハーゲン
117 スタンド・バイ・ミー/プレイング・フォー・チェンジ
118 人は少しずつ変わる/中山ラビ
119 氷の世界/井上陽水
120 ユー・メイ・ドリーム/シーナ&ロケッツ
121 ア・ソング・フォー・ユー/レオン・ラッセル
122 ファーストカー/トレイシー・チャップマン
123 ヨイトマケの唄/美輪明宏
124 オ―、シャンゼリゼ/ダニエル・ビダル
125 夜空ノムコウ/スガ シカオ
126 オード・トゥ・マイファミリー/クランベリーズ
127 いとしのレイラ/デレク&ザ・ドミノス
128 赤いハイヒール/太田裕美
129 サタデーナイト/ベイシティ・ローラーズ
130 ビコーズ・ザ・ナイト/パティ・スミス・グループ
131 涙のサンダーロード/ブルース・スプリングスティーン
132 燃ゆる灰/ルネッサンス
133 さよなら人類/たま
134 ウィリー・オ・ウィンズベリー/ペンタングル
135 アウト・オブ・ザ・ブルー/ロキシーミュージック
136 アジアの純真/PUFFY
137 ハリケーン/ボブ・ディラン
138 夜明けのスキャット/由紀さおり
139 ロックンロール黄金時代/モット・ザ・フープル
140 クラウドバスティング/ケイト・ブッシュ
141 二十世紀少年/T・レックス
142 女ぎつね オン・ザ・ラン/バービーボーイズ
143 ショウ・ミー・ザ・ウェイ/ピーター・フランプトン
144 ランバダ/カオマ
145 宇宙のファンタジー/アース・ウィンド&ファイアー
146 貿易風にさらされて/マザー・グース
147 愛のコリーダ/クインシー・ジョーンズ
148 ウェルカム上海/吉田日出子
全33編載録
♯128「赤いハイヒール/太田裕美」より
松本隆+筒美京平の70年代の斬新な歌謡マジック。
太田裕美の代表曲と言えば「木綿のハンカチーフ」だが、
明るい爽やかさの裏に悲しみが潜むあちらの歌に比べ、
この「赤いハイヒール」はアンニュイでミステリアスな曲調。
ちょっと禍々しいブラックメルヘンの味付けもある。
僕はこっちの方が好きで、このレコードも持っていた。
1976年。高校2年の時である。
「木綿」と同様、男女のダイアローグで進むが、
冒頭、「ねえ、友だちなら聞いてくださる?」と、
リスナーに語り掛けて歌の世界に誘い込むという、
のっけから松本隆のマジックが炸裂する。
今ならそう珍しくないかもしれないが、
当時、こんな曲はなかった。
イメージカラーは白、都会に出た男の子×田舎にいる女の子。
イメージカラーは赤、都会に出た女の子×田舎にいる男の子。
という設定の対比に留まらない。
「木綿」では人物やドラマの描写が
割とあいまいで抽象的だったのに対して、
こちらは東京駅に着いた・おさげでそばかすのある女の子・
ハイヒール買った・お国訛りを笑われた(らしい)・
タイプライター打つ仕事をやってるなど、
主人公の状況がかなり具体的に描かれている。
このあたり、ただのアンサーソング・二番煎じとは
絶対に言わせない。
「木綿」よりもいい曲にする・面白くするという、
松本+筒美の情熱とプライドを感じる。
そして何よりもその根底に太田裕美への愛情を感じる。(つづく)
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