小惑星が地球に落ちてくる。
激突すれば人類滅亡は必至。
それを回避するには小惑星の真ん中に
核爆弾をぶちこみ、破壊するしかない。
そのミッションを担ったのは、
石油採掘会社の、ろくでなしだが愛すべき男たち。
地球を、人類を、愛する人たちを救うために
男たちは悲壮な覚悟を持って宇宙空間に旅立った・・・
1998年公開のアメリカ映画「アルマゲドン」は
20世紀カルチャーてんこ盛りの、
ハリウッド映画のお手本のような作品だ。
エアロスミスが歌うドラマチックな主題歌
「ミス・ユー・シンク」も泣かせる。
このPVを見れば5分で
2時間の映画を見た気分になれる。
この手の20世紀映画で人類の危機を救うのは
みんなアメリカ人だ。
アメリカで作っているのだから当たり前だが、
やはり日本人や他国の人たちでは、
なかなかこうした地球大・宇宙大のスケールで
愛と正義と救済の物語は描けないのではないかと思う。
なぜかといえば20世紀、
現実の世界でアメリカが
「世界の警察」の役割を担っていたからだ。
それはアメリカがイギリスと共に
19世紀・20世紀の世界を形づくった責任から――
と言えなくもないのではないかと思う。
その役割がおかしくなり、やがて放棄するに至ったのは、
2001年の9・11同時多発テロがきっかけだった。
あのあたりからだんだんアメリカの関心は内へ向かい、
自分たちさえよければ他はどうでもいいや、
というふうに変わってきたのではないか。
日本人をはじめ、どの国の人たちもみんなそうだが。
「世界の警察」という意識には独善的な面が多々あり、
困った問題もたくさん引き起こしたが、
それでもやはり広く見れば、
アメリカのが言う“正義”によって
世界はバランスを保ってこられた。
今起こっているロシアとウクライナとの戦争、
イスラエルとハマスとの戦争は、
やはりアメリカが警察の役目を放棄したことが
大きな要因の一つになっているような気がしてならない。
21世紀になって、地球を救う者・人類を救う者は
いなくなってしまった。
「アルマゲドン」が旧態然としたハリウッドの
おめでたい予定調和映画と批判するのは簡単だが、
もう一度、未来のために
誰がどうやって地球を・人類を救えるのか考えてみたい。
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