お墓とお寺に守られた谷中の昭和レトロ

 

連休の谷間。雨も上がって五月晴れ。

義母も日中はデイサービスへ。

というわけで、仕事は連休にやることにして

夫婦で一日、谷中をほっつき歩く。

東京に住み始めて足掛け45年になるが、

谷中に来るのは初めてだ。

 

近年、昭和レトロの街として人気の谷中。

最寄駅のJR日暮里・西口を出て、

路地を一つ入ると広がる異世界。

谷中霊園を中心とする寺町界隈は、

古民家カフェ、古民家ショップなどが

至るところにあって面白い。

平日なので人出もほどほど。

その2~3割は外国人である。

寺町や古民家群のせいだろう。

どこか京都や鎌倉を思わせる風情がある。

 

霊園のすぐ横、「花重」という花屋と一体化した

カフェでランチを食べたあと、ぶらぶらしながら、

近年、昭和レトロの街として人気の谷中銀座商店街へ。

確かにそぞろ歩きしてるだけで面白い店がいっぱいある。

 

僕の感覚ではちょっと前まで、

他の地域にもこうした商店街はあちこちに

たくさんあったと思う。

だが、それらは昭和の終わりから平成初めごろまでは

「時代の取り残された街」と見られていた。

 

しかし、自然ななりゆきでそうなったのか、

住民や商店会の人たちの頑張りがあったからなのか、

ここまで生き延びられた結果として、

「昭和レトロ」という貴重な価値が生まれた。

 

作り物ではない、本物の「昭和レトロ」感が

谷中にあるのは、

やはりここで生活している人たちの

日々の活動や思いが土地に染みていること、

そして、お墓とお寺があるおかげではないかと思う。

凹んでいるときでも、

ご先祖様に感謝し守られつつ、

それなりにがんばり、楽しくやっていると、

いつかいいことあるんだ――ということなのかも。

 

どうやら谷中、および、根津、千駄木のエリアは

ネコが大勢たむろしていることでも有名らしく、

お店にはネコグッズやネコキャラがあふれていた。

でも、今日は一匹もネコに出会えなかったのが残念。

次回、この界隈を訪れるときはネコを探す旅にしよう。