僕は暖炉に火をくべ、きみは花瓶に花を挿す———
と歌う「僕たちの家」は1970年リリース、
CSNY(クロスビー・スティルㇲ・ナッシュ&ヤング)の
名盤「デジャ・ヴュ」からシングルカットされたヒット曲。
歌っているのは何気ない日常のひと時。
好きな人と同じ家でいっしょに暮らしている喜び・幸福。
名盤とか名曲とか音楽史的価値とか、
どれだけ売れたとか、
CSNYがいかに偉大なバンドだったか、
そんなことはどうでもよくて、
いま聴いても思わず口ずさみたくなる
楽しくて、やさしい歌だ。
むかしは恋人でも、夫婦でも、友だちでも、親子でも、
好きな人といっしょにいれば、
ただそれだけで楽しかったのに。
そう思うことはありませんか?
人間、齢を取るごとに、
好きな人といっしょにいるだけでは足らなくなり、
いろいろなものが欲しくなり、
約束された未来を手に入れたくなる。
そして、欲しいものが手に入らないと、
好きだったはずの人も好きでなくなってしまう。
欲しいものを手に入れようとがんばるから
人間は成長・進化するのだ。
そう言うかもしれないが、
それは実は成長でも進化でもなく、
人間がねじ曲がる変化・変貌ではないか。
人生はメルヘンではないけど、
たまにはこんな懐メロを口ずさみ、
単純に幸福だった時代、
楽しく暮らしていた時代を思い出してもいいかもね。
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