ここで毎週紹介している懐メロは、
たいていどれも記憶に残る出会いがあるのだが、
この曲だけはいつ・どのように出会ったのか、
ラジオで聴いたのか、テレビで見たのか、
コマーシャルだったのか、街のどこかで流れていたのか、
「ラヴィン・ユー」は10代後半の頃から
いつの間にか耳に住み着いていたという感じの曲だ。
ラブソングのプロフェッショナルなら
誰でも一度は歌ってみたいと思うような
美しい旋律の純粋なラブバラード。
それに自分の個性に合わせて
アレンジの自由度が高いこともあり、
世代を超えて、世界中でカヴァーは数限りないが、
オリジナルは1975年のミニー・リパートン。
彼女は黒人のシンガーだが、
歌はブルージーでもソウルフルでもない。
黒人だからと、そうした歌い方を求められることに
反感を覚えていたという。
もともとはオペラ歌手志望だったが、
ポップミュージックの世界へ。
既に大スターだったスティービー・ワンダーの
バックヴォーカルを務めたことで
メジャーなミュージシャンとしての道が開けた。
ワンダーはプロデューサーとして、
驚異の5オクターブの声域を持つ
彼女の歌唱の魅力を開花させた。
初のソロアルバムにつけた名前は
「パーフェクト・エンジェル」だ。
彼女自身は僕がまだ10代だった1979年に、
31歳の若さでこの世を去っている。
けれども子供の誕生を祝って夫と作ったという
「ラヴィン・ユー」はおそらくいつの時代も、
ほとんどの人が愛さずにはいられない
普遍的な名曲として、
この先も永く生き続けるのではないかと思う。
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