ヒッピーとベトナム戦争をテーマにつくられ、
1960年代後半に世界の若者たちの心を揺るがせた
ブロードウェイミュージカル「ヘアー」。
ソーニャ・クリスティーナは、
そのロンドンバージョンのオリジナルキャストだった。
彼女をリードヴォーカルに迎えて
1970年にデビューしたカーヴド・エア。
「今日突然に」は彼らのデビューアルバム
「エア・コンディショニング」のトップナンバーで、
シングルヒットも記録した。
「プログレッシブバンド」として紹介されることが多いが、
日本での知名度は低く、
かなりマニアックなファンでなければ知らなかったと思う。
僕も1975年発表のライブアルバムを
20歳ごろ中古レコード屋で見つけて
それを聴いていただけだったので、
名前は知っていたものの印象は薄かった。
しかし今回「エア・コンディショニング」をはじめ、
主なアルバムを聴いてみて、
他のプログレッシブロックバンドとは一味も二味も違う
魅力を持ったバンドであることを再発見した。
「曲った空気」というバンド名、
女性ヴォーカルとバイオリンをフィーチャーした編成、
曲作りも演奏表現も独特の面白さにあふれている。
人気がイマイチだったのは、
イエスやクリムゾン、フロイド、ジェネシス,ELPなど、
プログレビッグネームのような
圧倒的な世界観が築けなかったからか。
でも、その分、楽曲はバリエーションに富んでいるし、
聴きごたえのある曲も多い。
また、このバンドは、オリジナルメンバーではないが、
ロキシーミュージックやU.K.で活躍した
バイオリニスト&キーボーディストのエディ・ジョブソン、
ポリスを結成したドラムのスチュワート・コープランドが
在籍していたことでも「知る人ぞ知る」存在になっている。
この「今日突然に」は前半、アグレッシブな演奏の
とんがったなロックナンバーから中盤で急に転調し、
後半はスローで優美な、
まるで別の曲に変わってしまうという構成。
よく知られるところでは、
デレク・アンド・ドミノス(エリック・クラプトン)の
「レイラ」や、
カルメン・マキ&OZの「私は風」みたいな。
この時代にはこういう複数曲のカップリングみたいなのが
普通で、僕も当時はヘンなのと思っていたが、
いま聴くとこのメドレーみたいな急転調がやみつきになる。
まさしく20世紀再発見だったカーヴド・エア。
興味があれば、この曲が入っている
「エア・コンディショニング」
(タイトルもジャケットも実にユニーク!)、
そして、1975年のライブアルバムの
2枚だけでいいので聴いてみてほしい。
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