天使の小僧がニタッと笑うジャケットの
アルバム「1984」からもう40年。
アメリカンハードロック史上最大のヒット曲
「ジャンプ」を産んだ
ヴァン・ヘイレンの「1984」は、
もちろん1984年のリリース。
発売当初はイギリスの小説家ジョージ・オーウェルの
ディストピアSF小説「1984」が関係しているのでは?
という議論も生まれたが、メンバーは一笑に付した。
まぁ、確かに暗い影もないし、
思想的なことを楽曲にするようなバンドでもない。
「ジャンプ」はエドワード・ヴァンヘイレンの
ギターとシンセサイザー二刀流がさく裂する
超カッコいい、エネルギー噴出ナンバーだ。
でもこの「1984」がオーウェルの小説と
何の関係もないところが
逆に時代の変わり目を感じさせる。
というのも20世紀後半、
全体主義国家によって分割統治された
近未来世界の恐怖を描いたこのディストピア小説は、
欧米で非常に高く評価され、よく読まれており、
ミュージシャンらにも大きな影響を与えていたからだ。
デヴィッド・ボウイ『ダイアモンドの犬』(1974年)
トッド・ラングレン『1984年の子供たち』(1974年)
スティーヴィー・ワンダー『ビッグ・ブラザー』(1972年)などは、もろに「1984」をモチーフにした作品として知られている。
ちなみに音楽ではないが、
「1Q84」という傑作小説を書いた
村上春樹も、やはり「1984」を意識したのだろう。
思えば20世紀のロック/ポップミュージックは、
自由を許さず、絶え間ない監視によって人々を抑圧する
1984ディストピア的世界と戦うために
生れ育ったカルチャーである。
しかし、ヴァン・ヘイレンが
世界のトップバンドに上り詰めた
1984年頃にはそんなことも忘れられ、
ミュージシャンもリスナーも
楽しさを追求することに一生懸命だった。
もちろん、音楽なんだから、
難しいこと抜きに楽しければいい、
テンションが上がればいいのだけど。
あれから40年。
2024年になろうとしている今、
僕たちの世界はどうなっている?
そして、これからどうなっていく?
ロシア・ウクライナの戦争が長期化し、
パレスチナ問題が再燃し、
中国・北朝鮮の脅威が迫る2024、
もう一度「1984」を意識したほうがいいかもしれない。
ちょっと辛気臭い話をしてしまいましたが、
皆さんが新しい年に向かってジャンプ!できますように。
良いお年を。
大みそかまで続行!
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