1970年代から80年代にかけて、
ロックミュージックと一線を画する
シンセサイザーミュージックが流行したことがある。
火付け役は映画「エクソシスト」のテーマ曲
「チューブラーベルズ」を世に送り出した
マイク・オールドフィールドだったかもしれない。
日本でも冨田勲の「惑星」や喜多朗の「シルクロード」に
心酔した人も少なくないだろう。
「アメリカのマイク・オールドフィールド」と言われた
ラリー・ファーストもその一人。
リック・ウェイクマンやピーター・ガブリエルなど、
プログレッシブロックの雄たちの活動をサポートしてきた
シンセサイザー奏者だが、そのラリー・ファーストが
1975年、「シナジー」というプロジェクト名で
アルバム「10番街の殺人」を発表。
そのなかに収められた楽曲「戦士」は、
鮮烈なイメージの音楽世界を創り出した。
美しく抒情的なメロディとスリリングな曲展開、
そして幾重にも重なってハーモニーとなる電子音。
そのサウンドの奥に広がるのは
ファンタジックなSF映画を思わせる異世界。
いま聴いても初めて出会った当時の感動は、
何ら色あせることなくよみがえる。
ロックミュージックと一線を画すると言ったが、
ある面、これが究極のブログレッシヴロックとも思える。
今ではせいぜい仕事中のBGMとしてしか
聴かなくなってしまったシンセミュージックだが、
やはりシナジーは別格で、
クライマックスからエンディングに至る深遠な余韻は
脳の隅々にまで染みわたっていく。
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