英国のファンタジー作家・トールキンの
「指輪物語~王の帰還~」から
材を取ったと言われるこの曲は、
レッド・ツェッペリン1971年リリースの
「Ⅳ(フォアシンボルス)」の収録曲。
20世紀ロックの必聴版として名高い
「レッド・ツェッペリンⅣ」の
アナログ盤A面は、ブラックドッグ、ロックンロールと、
ZEP史上最強のロックナンバー2曲を
立て続けにかました後、一転して、
アコースティックなこの曲をブリッジにして
史上最高のバラードとロックの融合曲
「天国への階段」へつながるという完璧な構成だった。
そんなわけで何となく「天国への階段」へのつなぎ、
前座と見なされることが多かった「限りなき戦い」だが、
エスニックで印象的なメロディラインは
ヘヴィメタバンドとして分類されていた
ZEPのイメージを大きく変えた。
世界中のさまざまな伝統音楽のエキスを
ロックの文脈に取り入れた
ワールドミュージックバンドのZEPが
このあたりで開花したと言ってもいだろう。
ZEP時代、この曲をライブで演奏することは
ほとんどなかったようだが、
解散から10年あまりの月日を経て、
ギターのジミー・ペイジと
ヴォーカルのロバート・プラントが
再びタッグを組んで発表したアルバム
『ノー・クォーター』(1994年)では
民俗音楽色が3倍濃厚になった
リメイク版「限りなき戦い」が登場。
ZEPとは一味ちがうペイジ&プラントがめざす
音楽の方向性を示した。
また、この曲はレッド・ツェッペリンの楽曲の中でも唯一、
女性のゲストヴォーカリストが登場することでも
知られている。
オリジナルは60年代から活躍していた
イギリスのフォークバンド
「フェアポート・コンベンション」のサンディ・デニー。
神秘性を帯びた声で
プラントとの素晴らしいハモリを聴かせていたが、
このペイジ&プラントでは
インド系イギリス人のナジマ・アフタールが参加。
ペイジの弦楽器とエジプト人の
ミュージシャンたちをバックに、
エスニック感満点のデュエットで
古代の叙事詩のような世界を描き出す。
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