もともとはプリンスの曲だが、
完全にオリジナルを食いつくし、
シネイド・オコーナーが自分のものにしてしまった。
「これは彼女の歌だ」とプリンス本人も認めている。
1992年リリース。
めっちゃ美人なのに、なぜか頭を丸めてパフォーマンスする
アイリッシュガールの歌唱と存在感は圧倒的だった。
今年7月、彼女は享年56歳で亡くなった。
死因は明らかにされていないが、
ずっとメンタルヘルスで苦闘していた人なので、
その問題なのかもしれない。
1990年代あたりから日本も含め、世界の先進国では
精神疾患・神経疾患が医療における
最大の損失コストになり、
その深刻度は従来の肉体疾患を上回るという。
どうやら彼女は子供の頃の母親の虐待と
宗教(カトリック)的な締め付けに悩まされたらしい。
持って生まれた魂と生育環境との相性が悪かったようだ。
貧しさから抜け出し、
豊かな社会になっても生きやすくなるとは限らない。
以前、芸術系の表現活動に走る人は、
必ず何か生きる上での葛藤・問題を抱えていると
よく言われていた。
仕事でも趣味でも、大半の人が
何らかの芸術系活動に携わるようになった現代は、
誰もがそうした問題に悩まされているのかも知れない。
自己の本質と取り巻く環境とのギャップが
大きければ大きいほど、
表現活動への情熱は強烈で、咲く花は美しい。
ただ、才能に恵まれ、運よく社会的成功を収めても、
それで本人が幸福になるとは限らない。
むしろ逆に自分を追い詰めてしまうことにもなりかねない。
もちろん彼女の歌が世界中の人々の胸を振るわせた事実は
いつまでも忘れられず、歴史に刻まれるのだけれど。
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