「ナウ・アンド・ゼン」のリリースで
ビートルズの話題が再燃しているが、
こちらは1970年リリース。
ビートルズ解散後、ソロ活動を始めた頃の
ジョージ・ハリスンの代表作。
先日、現代の若者はビートルズのどの曲を
よく聴いているかという調査データを
ネットで発見し、見てみた。
それによると第1位は
レノン=マッカートニーの曲ではなく、
ハリスンの「ヒア・カムズ・ザ・サン」だという。
確かにビートルズ終盤からソロになった
70年代はじめの時代の
ハリスンのソングライティングは充実している。
特にこの曲や「ヒア・カムズ・ザ・サン」のような
ウォーム系の曲はいま聴いてもとても心地良い。
中学生時代、女の子みたいな男の子で、
気まぐれなネコみたいな、みんなに可愛がられていた
「ネコ」というあだ名の友だちがいた。
僕は一時期、ネコとずいぶん仲が良く、
中1のクリスマスは彼の家で5人くらいで
パーティーをやり、「赤玉ハニーワイン」という
安いワインを飲んで酔っ払ってしまった
(生まれて初めて酔っぱらいを体験した)
ことを覚えている。
このネコがジョージ・ハリスンが好きで、
「オールシングス・マストパス」という
3枚組のアルバムを持っていた。
彼の家に行くと、ほぼいつも
ハリスンの歌が流れていたことを思い出す。
「マイ・スウィート・ロード」は
この3枚組アルバムからのシングルカットで、
シングル、アルバムとも英米で売上第1位を獲得。
3枚組なんて当時、
日本では5千円はくだらなかったと思う。
そんなアルバムがチャートのナンバー1になるとは、
ちょっと驚きだ。
当時の人気ぶりがうかがい知れる。
それまでレノン=マッカートニーの陰に隠れていた
「サイレント・ビートル」の面目躍如といったところだ。
当時の彼はソロになったメンバーの中で
最も成功した、と音楽雑誌で持て囃されていた。
ネコもそれを自慢していた。
昨日出たビートルズの新曲にしてラストナンバーとなる
「ナウ・アンド・ゼン」は、
ジョン・レノンが作詞作曲した遺品のデモテープを
もとに作られた。
これまで不可能だったヴォーカルとピアノの音の分離を
AIを使って可能にしたために実現できたという。
しかし、それだけではない。
ジョージ・ハリスンがそのギターパートを
録音して遺していたからこそ
「ビートルズの曲」となり得、リリースもできたのだ。
そういう意味ではまさに奇跡の楽曲。
40年あまりの年月をかけて掘り出され、
磨き上げられた宝石なのだから、
この際、作品としての出来不出来はとやかく言うまい。
リアルタイムでビートルズを聴いていたファンは、
今、ほとんどが70代になっている。
彼ら・彼女らにとっては、
青春時代の最後の贈り物と言えるだろう。
「生きててよかった」と心から思う人もいるかもしれない。
おめでとう、皆さん。
ありがとうビートルズ。
そして安らかに、ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン。
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