おりべまこと電子書籍
再読・嵐が丘
10月31日(火)16:59 まで
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前世紀まで人々は社会的地位や家制度などに縛られて
自由な恋愛をするのが難しかった。
女も男も「道ならぬ恋」に恋焦がれつつも
ほとんどは予定調和の結婚・家庭人になって
不完全燃焼のまま人生を終えていた。
エミリー・ブロンテの「嵐が丘」は
そんな人々の潜在的な渇望を見事な形で描き出した
大恋愛ドラマだった。
しかし、社会が変化し、
社会的地位や家制度などへのこだわりが失われ、
自由恋愛が認められる時代になると、
この小説の価値は大きく変わる。
それまで軽く扱われてきた後半の子供たちの物語は、
一般に評価されているキャサリンとヒースクリフの
恋愛物語とは趣を異にするものだ。
しかし、現代の視点から見れば、
この後半にこそ「嵐が丘」を読む価値価がある。
これは父と母の狂気とも言える大恋愛の
“犠牲”となった惨めな子どもたちが
勇気を奮い起こして呪縛を解き、
新たな人生を切り拓く物語なのだ。
これまでの評論などに囚われる必要はない。
小説は映像作品と違って、
読者が好きなように読んで、自由に想像して、
自分にカスタマイズした物語にして良いのだ。
名作小説の"こんな読み方もできるんじゃね?"的
読書ガイドで
自分の世界を書き換えてみよう。
もくじ
●再読「嵐が丘」:呪われた家族・愛情関係から解き放たれる少女の物語
●続・再読「嵐が丘」: 呪われた家族・愛情関係から解き放たれる少女の物語
●嵐が丘の旅の追憶
●カフカの寓話「ロビンソン・クルーソー」
●カフカの寓話②「小さな寓話」
●チェコのカッパ
●成長に希少価値がある時代の「三銃士」
●「忘れられた巨人」は、僕たちの未来を描いた物語なのかもしれない
●香水(パフューム):人間存在の深淵につながる「におい」の世界
●スタンド・バイ・ミー 死の淵を覗きに行く少年たちの冒険譚
●女目フィルターの少年像と少女版スタンドバイミーについて
●「刑務所のリタ・ヘイワーズ」:凡人の希望と絶望をめぐる物語
●「ゴールデンボーイ」:誰もが怪物になり得る恐怖の神話
●ゴーストの正体と人間のストーリーテリング
●どうして人は地球滅亡・人類滅亡の物語を創り続けるのか?
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