リス系認知症患者の冬じたく

 

秋深まり、義母の食欲マシマシ。

三食はもちろん、つまみ食いも止まらない。

夜中にごそごそ物音がするなと思うと、

必ず食品棚の引き出しをあさっている。

 

大好きなつまみ食いベスト3

1位 菓子パン:

ただし大きいのは半分しか食べない。

残りは引き出しに戻しておくのだが、

自分が食べたことを忘れてしまうので、

「人の喰い残しなんか食べないよ」と言って

そのままほったらかしになる。

なのでできるだけ小さいのを入れるか、切って入れる。

 

2位.みかん:

カミさんの話によると若い頃から柑橘類は大好物。

これからの季節、大きさも手ごろで

自分で皮がむけるみかんが安く出回るのでありがたい。

 

3位.バナナ:

これも自分でムキムキできるし、

甘くて柔らかくて食べやすいので大好物。

 

4位.キャラメル:

好物だが所詮アメなので脳は一時的に満足するが、

おなかは満たされない。

なので他の食品との合わせ技が必要になってくる。

 

5位.ちくわ:

練り物大好き。夏はダメだが、秋・冬は

一晩くらい常温で置いておいても平気なので。

 

その他、ビスケットやクッキー類はカスをボロボロ落として

布団を汚してしまうので出さないようにしている。

表面に砂糖をまぶしてあるようなお菓子もNG。

 

ちなみにうっかり差し入れを忘れると、

かなりストレスが上がるようで、

カキ、リンゴ、アボカド、ジャガイモ、玉ねぎなど、

丸っこい系の果物・野菜を手当たり次第に持ち出していく。

まるい→かわいい→おいしい 

という公式が頭のなかにあるらしい。

 

もちろん、これらはそのまま食べられないし、

自分で皮もむけないので、部屋の鏡台の引きだしとか

スカーフや洋服などにくるんでしまわれている。

 

また、きれいな袋物、

可愛いパッケージを見ると胸がときめくようで、

この間など詰め替え用のコショウとか、

スープの素、雑穀米の小袋などを

テイクアウトしたこともあった。

 

さらに時々、スプーンとかフォークとかの

食器類や歯磨き粉、

僕のノートやはがきなど食品以外の物を持っていく。

 

先祖の記憶がよみがえるのか、

寒い季節が近づいてくると、

リスなどの動物同様、飢えないように

巣穴にいろいろ貯め込んでおきたいという

“貯蔵本能”?が起動するようだ。

 

時に思いもかけないところにしまい込んで

行方不明になってしまうこともある。

気温が低くなったので、すぐに腐る心配は少ないが、

デイサービスに出かけている間に

大捜索をしなくてはならないこともある。

 

いろいろ疲れるが、認知症とのお付き合いも

だいぶスキルアップしてきた気がする。

最近は人間修行をさせていただいているような

境地になってきた。