1972年リリース。
セカンド・ソロアルバム「トランスフォーマー」に
収録され、ルー・リードの代表作となった歌。
この中で歌われるトランスジェンダーやゲイたちは、
NYCのアンディ・ウォーホールのスタジオ
「ファクトリー(The Factory)」に集まる
俳優たちをモデルにしたという。
LGBTQの人たちは、かつては音楽や文学や演劇、芸術—ー
いわゆる非日常の世界の住人というイメージだった。
そのことを考えると隔世の感がある。
そうなのだ。
この曲が歌われてから半世紀の時が過ぎた。
半世紀前は、ボブ・ディラン、ドアーズのジム・モリソン、
少し遅れてパティ・スミスなど、
いわゆる詩人系のミュージシャンが活躍した。
ルー・リードもその一人で、
文学性・芸術性に富んだ感性で
ロックの価値を高めたミュージシャンとして
評価されている。
彼が率い、アンディ・ウォーホールがプロデュースした
ベルベット・アンダーグラウンドも、
僕たちがロックに狂っていた70年代~80年代は、
「昔のカルトバンド」として大して注目されていなかった。
ところが、その人気と評価は
時代を経るごとにどんどん上がっていき、
いまやロック史上屈指のレジェンド「ベルベッツ」として
紹介されることが多い。
これはトランスジェンダーやゲイの歌ではあるが、
「Wild」のニュアンスをどう解釈するかで
いろいろな聴き方ができるところも面白い。
そして管理社会が進む今日、
良い意味でWildであり続けることはとても難しいと感じる。
ライブでもよく演奏され、
YouTubeでもたくさん上がっているが、
派手なギターやドラム、ファンキーなホーンが入った
エキサイティングなものが多く、
この曲の良さを損ねている気がする。
僕に散ってはこのオリジナルのスタジオ版がベスト。
リードのリーディングのような歌い方と
エレキベースとダブルベースを重ねた、
独特の雰囲気を醸し出すベースラインは
麻薬のようにやみつきになってヤバい。
コメントをお書きください