認知症、あるいは認知症介護が
現実のものになると人生観が変わる。
先日、「回想療法士」を取材した。
回想療法とは古い写真などを見て、
認知症患者、また認知症でなくても元気のない高齢者と
いっしょに思い出を共有するというメソッド。
通信講座で取れる民間の認定資格だが、
ルールを覚えればそう難しいものでもなく、
たとえばカラオケで懐メロを歌うだけでも
回想療法になるらしい。
ただし療法といっても、これで認知症が治るわけではない。
予防になったり、
軽度の段階なら進行を遅らせることは可能らしく、
その辺もまだ研究の最中ということだ。
僕が取材した人たちは回想療法を活かした
商品を作っているのだが、
病院や介護施設の一部でも活用されているらしい。
ちょっと前まで認知症は、痴呆症、老人ボケなどと言われ、
これになったら半死人、ほとんど廃人みたいな扱いだった。
そうした認識がこの10年ほどの間に激変した。
理由は簡単で、当事者、
つまり自分ごとと考える人が増えたからだ。
他人ごとのうちはボケとか軽口を叩いたり、
廃人扱いしても心が痛むことなどなかったが、
身内や大切な人が発症して介護者になったり、
自分自身もなるかもと考えると、そうはいかない。
いまや認知症はポピュラーになり、
嫌な言い方かも知れないが、
多くの人のビジネスのネタになるようになった。
認知症をネタにした本を書いている僕も
その一人といえる。
次の段階としては、これからまだまだ増えるであろう
認知症患者を、どう役に立つようにするかが、
大きな社会課題になっていくだろう。
親子で読もう!
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