週末の懐メロ146:貿易風にさらされて/マザー・グース

 

シティポップのミックスを聴いていたら偶然の再会。

かなり遠い昔、

高校時代にラジオで1度聴いたきりの曲で、

曲名も歌手の名前も全然知らなかったが、

さわやかで親しみやすく、ちょっとだけメロウな旋律と

「シュワっとはじけて」という夏っぽいフレーズが、

頭の奥の引き出しに録音されていた。

 

1977年リリース。

マザー・グースは金沢出身の女性3人組バンド。

この曲は彼女らのオリジナル曲で、一度、

前年発売のデビューアルバムに収められていたが、

それを山下達郎が編曲・プロデュースを手掛け、

シングル盤として新たに発売した。

当時まだマイナーな存在だった

(伝説の「シュガーベイブ」というバンドをやっていた)

山下達郎にとって初めてのプロデュース作だったらしい。

 

すごいのは山下をはじめとするバックの演奏陣で、

ティンパンアレイの林立夫、細野晴臣、鈴木茂、

そしてまだ無名のスタジオミュージシャンだった

坂本龍一など、日本のポップミュージックシーンを築いた

若き日のビッグネームたちがこぞって参加している。

 

「貿易風」とは聞き慣れない言葉だが、

横浜などの貿易港のイメージなのだろう。

改めて聴くと、女性がオトコ目線で歌う歌詞は

ユニークで楽しく、ちょっと不器用感があって、

そこがまたひどくみずみずしくて印象的だ。

 

世界で人気のジャパニーズ・シティポップは、

80年代の曲がメインだが、

そこまできらびやかでなく、

イマイチ洗練されきっていない、

70年代後半感が漂うサウンドは、とても気持ちいい。

 

ちなみにこの頃はシティポップも、

J-POPという言葉もなく、

やっと「ニューミュージック」という言葉が

広がり出したころだ。

 

いずれにしても、いつまでもみずみずしさを失わない、

不思議な魅力のある歌。

ジャパニーズ・シティポップの隠れた名曲として

より大勢の人が聴いて楽しんでくれるといいと思う。