★70年代のモンスターアルバム
1976年リリース。
世界中で1千万枚以上のセールスを記録した
70年代ロックアルバムの金字塔が
ピーター・フランプトンの
「フランプトン・カムズ・アライブ」。
本国イギリスよりもアメリカで売れ、
ビルボードで合計10週にわたって1位を独走。
発売から3ヶ月でプラチナ・ディスクに認定される
モンスターヒットとなった。
もちろん日本でもめちゃ売れ。
2枚組ライブアルバム(当時5千円近くした)で
このセールスはすごい!
「ショー・ミー・ザ・ウェイ」はその中に収録され、
最初にシングルカットされた曲で、これもやはり大ヒット。
長きにわたって、押しも押されぬ
ロックの名盤と“されていた。”
★いまや過去の名盤?
あえて過去完了形にしたのは、最近になって、
この「フランプトン・カムズ・アライブ」の
名盤としての地位が危うくなっているというのだ。
21世紀も20年以上を過ぎ、
英米のいろんな音楽メディアの間で
ロック・フォーク・ポップの楽曲・アルバムの価値を
現代的視点を強めて見直してみようじゃないか、
という動きが活発化しているらしい。
詳しいことはまた別の機会に譲るが、
簡単に言うと、見直しのテーマは、
今ある音楽文化の真の貢献者は誰か?
21世紀以降もより多くの音楽家・リスナーに
影響を及ぼしている作品は何か?
といった「歴史的価値」により焦点が当てられていること。
そのテーマに沿って、20世紀に作られ、流通していた
「名盤ランキング」も再検討が図られている。
ビートルズ、ローリングストーンズ、ボブ・ディラン、
デビッド・ボウイ、レッド・ツェッペリンなど、
今も変わらぬ不動の地位を築いている
アーティストがいる一方で、
昔は人気があった・売れた・高評価だったけど、今は???
というアーティスト・作品も少なくない。
「フランプトン・カムズ・アライブ」は、
その「昔はすごかったけどねグループ」の
代表格に挙げられている。
★再聴フランプトン・カムズ・アライブ
考えてみれば、ピーター・フランプトン自身、
レジェンド化されるスーパースターとは言い難く、
後世のアーティスト・リスナーに
それほど認められていない感じがする。
つまり、時代の流れ・その時の勢いで売れた
アーティストというイメージが
強まってしまったのかもしれない。
また、イケメンなので女の子に人気があっただけかもね、
という男姓評論家のそれとない嫉妬心も
いくらか混じっているような気がする。
なんだかひどくディスって申しわけないが、
僕自身もかつて大好きだったというわけではない。
今、どう感じるか、ほぼ45年ぶりくらいに
「フランプトン・カムズ・アライブ」を聴き直してみた。
この曲をはじめ、普通に良い曲・万人受けする
ポップでスイートな楽曲がバランスよく揃っていて、
割と気持ちよく聴ける。
しかし、聴いている途中でどうしてこのアルバムに
かつて良い印象を持たなかったのか、思い出した。
それはオリジナル曲の合間にマイフェーバリット、
ローリング・ストーンズの
「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」を
やっているからだ。
カバーするのに文句を言うつもりはないが、
アレンジもパフォーマンスも気に食わない。
「このジャンピンはちがうっ!」
と強く憤った思いがよみがえった。
こうした感情は何十年たっても変わらない。
まぁ、当時ほどとんがっていなにので
さすがに今は「許せん」とまでは言わないけど、
やっぱあんまり感心せんな、このカバーは。
★きみを求めて=ベイビー・アイ・ラブ・ユア・ウェイ
というわけで結局、またディスることになってしまったが、
それでも平均的に見て良いアルバムですよ、
「フランプトン・カムズ・アライブ」は。
特にあまりゴリゴリのロックが苦手で、
基本的には甘いポップロックでありながら、
ところどころスパイス効かせて
ギンギンやっちゃう、というのが
好きな人にはおすすめです。
おわびというわけでもないけど、もう1曲、
「ショー・ミー・ザ・ウェイ」とともに
リコメンドするのが、
これもシングルカットされてヒットした
「きみを求めて」というアイドル系ラブソング。
女の子の人気が高かったのがわかる気がする。
●きみを求めて/ピーター・フランプトン
あれ、どっかで聴いたことあるぞという人も多いはず。
そうそう、こちらは1994年に
レゲエバンドのビッグ・マウンテンが
レゲエバージョンに仕立て上げ、
原題「ベイビー・アイ・ラブ・ユア・ウェイ」として
世界的な大ヒットとなった。
暑い夏を吹っ飛ばす会心のレゲエナンバーを聴きながら、
オリジナルを歌ったピーター・フランプトンの名を
ぜひ胸に刻んでほしい。
●ベイビー・アイ・ラブ・ユア・ウェイ/ビッグマウンテン
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