昨日・今日とパシフィコ横浜で
葬祭事業の展示会
「フューネラル・ビジネスフェア」をやっていた。
今年はコロナ明けということで活気があった。
中でも目を引いたのが、
岡山の「ビアンフェ.」のブース。
ここの社長の岡野裕子さんはもともと葬式のナレーターで、
25年間蓄積したナレーション原稿をもとに、
AIによる自動ナレーション生成システム
「IKIRU」を作り上げた。
今年はそのシステムをアレンジした姉妹バージョン
「ルーベン」をお披露目。
こちらのシステムは、
群馬の「ひさよ斎場(㈱富品)」のAIサービスだ。
社長の荻原久代さんも岡野さんと同等の
ナレーターとしてのキャリアと原稿を蓄積しており、
今回、半年余りをかけて1万部に及ぶ原稿をデータ化し、
「ルーベン」を完成させた。
ルーベンには「ライフ・ストーリー」という
クローズドSNS風のシステムもついている。
インターネット上で亡くなった人の
葬儀の特別サイトが期間限定で設けられ、
招待された人はそこに写真やコメントを投稿でき、
交流もできる。
13年前、死んだ友だちがブログを書いていて、
その最後の投稿に1年後までえんえんと
コメントが寄せられ、
一種のコミュニティを形成していたが、
そのことを思い出した。
あの頃より格段に進化したITを使えば、
故人のお別れ会をネタに、
古いコミュニティが復活・再生する
新しい土壌になりそうだ。
それにしても、今年はチャットGPTの登場で、
あっという間にAI時代に突入してしまった。
葬式のナレーションに関して言えば、
岡野さんや荻原さんのようなキャリアを積める人は
もうほとんど出てこられないと思う。
ナレータに限らず、どの職業でも今後、
長い時間をかけた修行や勉強、経験の蓄積は、
あまり意味をなさなくなるだろう。
社会が、経済の仕組みが、もうそれを許してくれない。
大きな目で見れば、蓄積が美徳であることは変わりないが、
商売のために日々の業務をこなしていくには、
修行中の人や勉強中の人は役に立たず、
手取り足取りきちんと育てているヒマなどない。
AIを上手に使いこなすとか、
旧来の方法に代わるスキルアップが求められるのだと思う。
ビアンフェ.は、
20代の開発リーダー・中原海里氏が中心となって、
複数の大学の教授陣と組んで、
次なる異次元のAI開発に取り組んでいるという。
この秋にはさらに進化した、
汎用性の高いものが登場するので、
期待してほしいとのことだった。
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