1975年リリース。
ブルース・スプリングスティーンの出世作、
サードアルバム「明日への暴走」のトップナンバー。
古いしきたりに縛られた田舎町から
若い男と女が自由を求めて脱出する。
愛を育み、新しい暮らしをつくるために―――。
そんな60~70年代のアメリカの青春の物語を
一人称で歌い上げる。
まさしくスプリングスティーンならではのロック。
この曲の疾走感・高揚感はハンパなかった。
佐野元春も尾崎豊も浜田省吾も、
80年代に人気を博した日本のブルースロッカーたちは、
かなりこれにイカれていたはずだ。
僕も20代の前半、聴きまくっていた時期があった。
特に好きだったのは、このサードアルバムと
「ザ・リバー」「ボーン・イン・ザ・USA」。
最後に買ったアナログレコードは1986年に出た
スプリングスティーンの5枚組のライブアルバムだった。
その頃、彼はロック界の「ボス」と
呼ばれるようになっていた。
その頃から40年近く経った今、
いろいろな懐メロロックを毎日のように聴いているが、
残念ながらスプリングスティーンの楽曲を聴いて
胸が高鳴ること、テンションが上がることはほとんどない。
どんなに盛り上がっているライブを聴いてもピンとこない。
なぜだろう?
もちろん、僕が齢を取ったせいだろう。
でも、それだけだろうか?
スプリングスティーンは20世紀のアメリカを
体現しているようなところがあった。
そのアメリカが変貌してしまったことも
一因なのでないかと考える。
ボーン・イン・ザ・USA。
ウィ・アー・ザ・ワールド。
熱量が高く、華やか・盛大だっただけに
現在とのギャップも大きい。
21世紀も20年を過ぎた今、
もうすっかり色あせてしまった感は否めず、
思い出も小さく萎んでしまった。
と、さんざんディスってしまったが、
唯一、このロンドン・ハマースミス・オデオンでの
「サンダーロード」だけは別物だ。
齢を取ってかつての元気ノリノリの名曲を
渋くアコースティックにアレンジして披露する
ミュージシャンは大勢いるが、
これはこの曲をリリースしたばかりの時で、
当然、スプリングスティーンもまだ20代の若僧。
どんな事情があってこの神聖なバージョンを
披露したのかはわからない。
若い血を沸かせた疾走感・高揚感あふれる曲を、
ギターもドラムもサックスも入れず、
全編ほとんどピアノの伴奏だけで歌い上げる。
そして、イントロとエンディングの
ブルースハープ(ハーモニカ)のひびき。
世界を変えたロックミュージックの純粋な結晶。
一生聴き続けたいと思える
スプリングスティーンがここにいる。
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