エリック・クラプトンの代表曲になっている
「いとしのレイラ」。
じつは1970年に発表された
デレク&ザ・ドミノスのアルバムに収録されたものが
オリジナルバージョン。
ヤードバーズ、クリーム、ブラインド・フェイスなど、
60年代の歴史的バンドで活躍し、
この頃、すでに稀代の名ギタリストの地位を確立していた
クラプトンは、もちろんこの新しいバンドの
リードギタリストだった。
僕は中学生の時、ラジオでが初めてこの曲を聴いた。
その前に音楽雑誌で評判は聞いていた。
当時、これほどもてはやされていた曲も珍しい。
クラプトンと言えばレイラ。
とにかくレイラがすごい、レイラ大好き、レイラ最高!
彼はすでにソロ活動に入っていたが、
ライブをやってもみんながこれを聴きたがるものだから、
新しい曲がやりにくい、
といったエピソードがあふれていた。
で、そんなにすごい曲なのかと思って聴いたが、
正直なところ、「そんなかなぁ」と思ってしまった。
その頃はハードロックやプログレに狂っていたので、
この曲があんまりすごいとか、カッコいいとか、
面白いとか思わなかったんだよね。
その印象が一変したのが、高校生の時。
同じくラジオで流れてきたレイラに鳥肌が立ち、
しびれまくった。
いったい何が違っていたのか?
最初に聴いたのは前半3分のみ、
おなじみクラプトンのギターが炸裂する
シングルバージョン。
そして2回目はその続きがあるフルバージョンだったのだ。
聴けばわかるが、レイラは二つのパートで成り立っていて、
後半はピアノを中心とした
インストゥルメンタルパートになっている。
3分を過ぎてギターが鳴りやんだところに、
やさしくピアノが入ってきて、
そこにまたギターが絡み合って、
まるで違う曲のように美しく流れていく。
これぞ本物の「いとしのレイラ」だ。
いわば迸る恋の情熱・激情と、
それが成就したあとの愛が満ち溢れる世界。
この前半と後半の対比が
めっちゃドラマチックで素晴らしく、
両パート合わせてこその名曲なのである。
それから半世紀、この曲はクラプトンのライブで
欠かせないレパートリーとなり、
最近は彼の齢に合わせて
渋いアコースティックバージョンになっている。
が、演奏されるのはやっぱり前半部分ばかり。
だから「レイラ」と言っても、中学生時代の僕と同様、
曲の半分しか知らない人が多いのではないだろうか?
そんな人はぜひ、デレク&ザ・ドミノスの
フルバージョンを聴いて、イメージを一新してほしい。
ところでこのバンド名、
僕はずっとデレクさんとドミノスさんという人が
メンバーにいるのかなと思っていたが、そうではなく、
もともと「ダイナミックス」という名前だったのを
テレビ番組の司会者が紹介する時、
「デレク&ザ・ドミノス」と言い間違えたのだという。
メンバーの一人である
ボビー・ウィットロックの証言なので、
本当のことらしいが、え~、ホント? と思ってしまう。
ロックの世界は、ジョークやいい加減な話が
まことしやかに伝説化されてしまっていることが多い。
まぁ、今さらどうでもいいことだけど。
ちなみにこのアルバムジャッケットも
ロック史に残る名作で、
まさしくレイラが描かれていると思う。
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