コロナ禍で失った損失を取り戻したい
という気運が強いせいか、
最近、仕事の効率化ということに拍車が掛かり、
やたらとコスパだ、タイパ(時短)だという
話題が多くなった。
僕はそれと逆行するようにロングタームの仕事が多い。
先月から江東区に出向いて、月1~2回の取材をしている。
その社長さんは夏から新しい事業をスタートさせるのだが、
その準備の様子を取材してほしいというのだ。
準備はそうそうスムーズには進まない。
いろんなトラブルに見舞われたり、
ヘマをしたり、ずっこけたりする。
しかし、開業した後は
そんなあれこれを忘れてしまうかもしれないし、
憶えていいてもカッコ悪いことなんか
話したくなくなると思う・・・
ということで僕がその準備段階の記録を頼まれたのである。
話をするのはその社長と若いパートナー。
実際、話をきくと確かに面白いエピソードがあふれており、
こんなことがあったんだと、
事業所を貸すオーナー・不動産屋との諍いや
人材集めをしたらこんな人が来たとか、
喜怒哀楽いっぱいに話してくれる。
自分で記録しておけばいいと思うかもしれないが、
じつはこういうことは自分や身内の人間ではできない。
外部からやって来た取材者・インタビュアーがいるから、
あけすけに胸を開いて、
こんな失敗をしてしまった、と話せるのだ。
ぼくはそれを録音して、
とりあえず文字起こしをしてストックしておく。
いわゆるライブ録音だ。
その時にしか生まれない問いと答、
ノリ・勢いを言葉にする。
面白いコンテンツは対話から生まれる。
ビジネスに関連する文章は、
どうしても皆、カッコいいもの、
きれいごとを書きたくなるが、
そういうのはどうも面白くないと、その社長は言う。
なかなかユニークな試みを考えるだけあって、
とてもユニークなセンスを持った人だ。
失礼な言い方だが、見かけによらず頭が切れる。
ストックした文章の使い道としては、
ちゃんと成形してホームページの一部にしたり、
ブログにする、紙か電子かの本にするなど、
自在に料理できる。
新鮮なまま冷凍保存した良い材料があるから
いろいろ良い料理ができるのである。
これはいわば会社にとっては将来の資産作りである。
お金でない資産、数字に出来ない資産は
とかく軽く扱われがちだが、
じつはスタートアップの場合、
けっこう大切なのではないかと思う。
こういうことが会社にとって、事業にとって、
信頼の土台になる。
僕としてはひどく時間のかかる仕事で、タイパは悪い。
ギャランティはとりあえず開業の時点で締めてもらって、
その後も1年間つきあう予定でいる。
効率が悪くてもこういう仕事は好きだ。
何か新しい事業を起こす際、
自分もぜひやってみたいと思うか方がいたら、
ぜひお声がけください。
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