いまや誰もが知る名曲中の名曲、
スタンダードナンバー中のスタンダードナンバー。
オリジナルは1961年に黒人シンガーソングライター、
ベン・E・キングがリリースした。
その後、1975年にジョン・レノンが
アルバム「ロックンロール」の中でカバーして大ヒット。
さらに1986年に公開された、
スティーブン・キング原作、ロブ・ライナー監督の
同名映画(4人の少年が死体を見つけようと冒険する話)の
テーマ曲となり、誰もが知る名曲となった。
60年代、70年代、80年代と年月を重ねて
広まった名曲は、もちろん、90年代にも21世紀の今も
愛唱・愛聴されており、
カバー・バージョンは400を超えるという。
さて、ここで歌っているのは皆、
音楽ビジネスとは無縁な無名のミュージシャンたち。
ストリートで、スラムの片隅で、自宅で、
あるいはどこかの野っぱらで、
自由に、好きなように「スタンド・バイ・ミー」を歌う。
この音楽プロジェクト“PLAYING FOR CHANGE”は、
2004年の第47回グラミー賞において、
ベストコンテンポラリー・ブルースアルバム部門で受賞した
アメリカ人のプロデューサー/エンジニアである、
マーク・ジョンソン氏が立ち上げたもの。
彼はサンタモニカの街の路上で歌う
黒人のおっちゃん(冒頭から登場するメインシンガー)の
パフォーマンスに胸を射られ、
その演奏に世界中のミュージシャン達を加え、
音楽で世界をつなぎたいという思いが込み上げたという。
その後、数年をかけて世界のさまざまな国を旅して、
世代を超えた名曲やオリジナル楽曲の演奏を、
のべ100人以上のミュージシャン達から収録した。
そして、それを編集し、
あたかも世界中のミュージシャンが、
ひとつの楽曲を一緒に演奏しているように
仕上げた動画を発表。
世界規模で大きな話題となり、
多くの人々に感動を与える一大ムーヴメントとなった。
このプロジェクトの収益の一部は、
非営利団体である
「PLAYING FOR CHANGE基金」を通じて、
インドやネパールにおける難民への必要物資の提供など、
直接的な援助のほかに、
南アフリカでの音楽スクールやアートスクールの設立、
子どもたちへの恒常的な指導にも役立てられ、
音楽や芸術の輪を、世界に広げることに貢献している。
音楽は世界を救う、平和を実現する――
1960年代から80年代にかけて盛り上がった
ポップカルチャーのムーヴメントは色あせ、
夢と消えたかに見えたが、まだ生きている。
やっぱり音楽っていいものだ、夢を捨ててはいけない
と改めて思わせてくれるパフォーマンスだ。
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