クリスマスには失恋がよく似合う?
僕もあなたもみんなも大好き、
山下達郎の「クリスマス・イブ」といい、
この「ラスト・クリスマス」といい、
クリスマスの定番ソングになるのは失恋の歌ばっか。
イギリスの男性デュオ・ワムがこの曲を歌ったのは1984年。
(ちなみに録音したのは
ジョージ・マイケルだけだったらしい)
悲しい歌詞なのに、やけに明るいメロディ。
だけど当時はそんなことも気にならず、
この曲が大好きで、この季節になるとよく聴いて
失恋しているのに浮かれた気分になっていた。
思い返せば1980年代はそんな矛盾に満ちた時代だったのだ。
そんな若かったバカかった頃も過ぎて、
もうここ30年近く、BGMで聴こえてくるのは別にして、
ほとんど聴く気がしなかったのだが、
ふとまた聴いてみた。
やっぱり若い頃は妄想が張り付いていたのか、
魔法が切れてて、ワムのオリジナル版を聴いても、
全然ピンとこない。
カバーはどうなのか?
名曲なのでやたらいろんな人、それも女性ばっかり、
しかも世界に名を馳せるビッグネームらが
「“わたしの”ラスト・クリスマス」をご披露しているが、
全然いいと思わない。
そうして辿り着いたのが、ベスという無名の歌手。
ピアノだけを強調したシンプルな演奏をバックに、
甘くかわいく歌う。
はっきり言ってワムのオリジナルより数倍いい。
これぞ魔法がよみがえる、
僕の妄想の中の「ラスト・クリスマス」だ。
彼女はいろいろなカバー曲で歌い、
自分でネットで歌を売っているらしい。
プライベートな写真・家族の写真(だと思う)を
入れ込んだ、妙に素人っぽい映像づくりにも好感が持てる。
きっとパパ・ママが大好きで、
「ジングルベル」や「赤鼻のトナカイ」などと
いっしょに聴いて歌って大人になったんだろう。
懐メロとネットを媒介にビッグネームも素人さんも
分け隔てなく音楽を提供する時代になった。
・・・というわけで、
楽しいクリスマスをお過ごしください。
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