脚本もセリフも素晴らしい。
それを3日かけて観た。
1日1幕ずつの3幕劇。
村上春樹の小説を濱口竜介監督が映画化した。
昨年のカンヌ国際映画祭脚本賞、
今年のアカデミー賞国際長編映画賞など、
世界的に評価された作品。
第1幕、序盤のハイライトは濡れ場。
こちらの世界とあちらの世界へ、
ファンタジー要素のない、リアルベースの物語なら、
日常のマテリアルな世界から、
内面のマインドな世界へぬけるために、
セックスをトンネルとかブリッジに使うのは、
村上春樹の常套手段だが、
それを映像化すると、こんなにエロくなるのかと
ちょっと驚いた。女優さんが上手だ。
第2幕は演劇の世界。
主人公が演出家なので、演劇のシーンが多いのだが、
その空気感もビンビン伝わって来た。
すごく久しぶりにチェーホフの戯曲に触れた。
若い頃はチェーホフなんて退屈で嫌いだったのだが、
いま観ると面白そうだ。
韓国の俳優さんたちがいい味を出している。
舞台が広島というのもいい。
そういえば、瀬戸内にはもう何十年も行ってない。
第3幕はロードムービー。
広島から北海道へ、タイトル通りドライブ・マイ・カー。
クライマックス。
主人公とドライバーの女の子のセリフが胸を打つ。
でも、すごく感動!という映画ではない。
てか、やたら淡々とした地味な映画だ。
しかもその割に長い。
なんと3時間近くもある。
それもあって1日では見られず、3日かけて観たのだ。
でも、そのおかげですごく心に染みる映画として見られた。
べつにこれは皮肉ではない。
本を読むように、ページを見返しながら、
ちょっと戻し戻し見ながら、
1シーン、1シーンを噛み締めながら楽しむ。
正直、映画館で見たら途中で寝てしまって、
「なんだか地味で、よくわからなくて退屈だった」
あるいは
「序盤の濡れ場だけがやたら印象に残った」
という感想しか抱かなかっただろう。
今はネット配信で、何日でもかけて、
いくらでも止めながら観られる。
今までの映画の見方からすれば、
そんなの邪道なのかもしれないけど、
そのほうがいい作品もあると思う。
今だとAmazonPrimeの見放題で見られます。
良い映画なんでおすすめです。
もちろんイッキに見てもいいし、
1週間かけてちびちび見るのも良し。
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