1971年リリース。
アイドル感が強かった
1960年代終わりのGS(グループサウンズ)。
熱狂的なブームが終わり、
そのメンバーたちが集まって
「本格的なロックをやろうぜ」と作ったバンドが
PYG(ピッグ)だった。
ザ・タイガースから
ヴォーカル・沢田研二(ジュリー)と
べース・岸部修三(のちの一徳)。
ザ・テンプターズから
ヴォーカル・萩原健一(ショーケン)と
ドラムス・大口広司。
ザ・スパイダースからギター・井上堯之と
キーボード・大野克夫。
GSブームの頃、おとなたちは
「なんだ、あの女オトコどもは!」と怒っていた。
年上のいとこのお姉ちゃんたちは
ジュリーにキャーキャー言ってた。
いとこの兄ちゃんからは
「ショーケンは子どもの頃、
よくおねしょをしてたから
ショーケン(小便+健一)っていうんだって」
と教わった。
僕はまるっきり子供(小学校低学年)だったので、
髪の長い兄ちゃんたちがワイワイ歌を歌っているな、
でもエレキギター弾けるとカッコいいな、
という印象だった。
ワイワイ、アイドル扱いされていたGSも
あっという間に消費されてしまって、
ロックかぶれの先輩がたは
「あんなの、オンナ相手の子供だましバンドだ」と
馬鹿にしていた。
けれども、彼らの音楽性と演奏力は
優れたものだった。
PYGがそれを証明した。
注目されたのは、もちろん超人気アイドル、
ジュリーとショーケンのダブルヴォーカルだが、
バックの4人がすごかった。
彼らはのちに井上堯之バンドとなり、
日本のロック・ポップの世界に金字塔を打ち立てる。
井上堯之バンドの代名詞となる
「太陽にほえろ!」のテーマも、
最初はPYGの名義で演奏されたらしい。
「自由に歩いて愛して」は、
デビュー曲「花・太陽・雨」に続く
セカンドシングル。
どうやって手に入れたのか憶えてないが、
僕もレコードを持っていて、よく聴いていた。
まさしくあの井上堯之バンドのロックサウンドが
ここにある。
詞も素敵で、50年後のいま聴いても、
いや、いま聴くからこそ心に刺さるものがある。
これだけのスーパーバンドでありながら、
PYGは不遇で、当時のロック=反体制の信奉者から
商業主義バンドと罵倒されたり、
コンサート会場ではジュリーファンと
ショーケンファンの対立が激しく、
一体化できなかった。
所属事務所のマネージメントもよくなかったらしい。
思ったほどレコードは売れず、
マスコミからは見掛け倒しと叩かれ、
結局、鳴かず飛ばずで終わってしまった。
しかし、PYGで自分たちの音楽、
本格的なロックを追究したからこそ
メンバーたちのその後の輝かしいキャリアが
築かれた。
ドライブ感満点のベースを弾いていた岸部修三も
岸部一徳という存在感抜群の俳優となって今も活躍。
ジュリーもショーケンも歌手・俳優の両面で成功。
二人とも自分のライブでは愛と誇りを持って
この「自由に歩いて愛して」を歌っていた。
うん、やっぱりカッコいい!
もうこのメンバーのうち、
半分の三人がこの世を去ってしまったが、
PYGよ、永遠なれ。
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