以前、月刊仏事に告知記事を載せた、
泉ピン子の「すぐ死ぬんだから」というお芝居に
ご招待いただいたので観に行った。
劇場は東池袋の「あうるすぽっと」。
最後はいつだったか思い出せないほど、
観劇はかなり久しぶりだが、めっちゃ面白かった。
夫とともに町の商店を切り盛りしながら、
夫婦仲よく平凡に生きてきた
78歳の高齢女性を主人公としたストーリー。
テレビドラマの脚本家としておなじみ、
内館牧子が書いた小説を舞台用に構成した朗読劇で、
出演は泉ピン子と村田雄浩。
泉が、主人公のハナ役をメインに、
村田がその夫と息子をメインにしながら、
全登場人物、そして小説の地の文に当たる部分を
ト書きやナレーション風にして、すべて演じる。
その切り替えとバランスが抜群で、
縦横無尽に感情をさらけ出して暴れる泉ピン子を
村田雄浩が見事にフォローする。
だからとても安心して感情移入でき、笑って泣けるのだ。
泉ピン子が本に惚れて舞台化を企画したそうだが、
現代の高齢女性の心をドラマ化した
内館牧子の原作が素晴らしい。
タイトルの「すぐ死ぬんだから」は
劇中、随所にキーワードのように出てくる。
場面によって諦観の表現や、
笑いを誘うためのセリフとして
使われているところもあるが、
全体を通してみると、
人生の終章近くを生きる女性を叱咤し励ます
エールのような意味合いを帯びている。
そしてそれが最後には高齢女性に限らず、
すべての世代の男女に向けた
人生の応援歌として響いてくる。
観客も高齢者が大半かと思っていたら、
けっこう若い人も多く、バラエティに富んでいた。
休憩20分を入れて2時間余り。
終了後、作品の余韻を残したまま、
ピン子さんと村田さんがカーテンコールで
10分ほどのトークをしたが、それもまた楽しくて、
みんなとても良い気分で劇場を後にした。
まさしく名優にして名エンターテイナー。
東京での公演の後、年内は全国ツアーに出る。
機会があれば、ぜひ観ると面白いですよ。
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