週末の懐メロ90:神秘の丘/ケイト・ブッシュ

 

1985年リリースのこの曲が、

先月、世界中で大ブレイクした。

全英第1位、米ビルボードHot100では4位を記録、

その他、スイス、スウェーデン、オーストラリア、

ニュージーランド等でもトップになり、

37年の時を超えたリバイバル・ワールドヒットになった。

 

Netflixのドラマ『ストレンジャー・シングス~未知の世界』の

シーズン4で使用されたのがその原因だが、

この大ヒットは、優れた曲は時代を超えることの証、

そしてまた、それを生み出した、

ケイト・ブッシュという異次元の天才の証でもある。

 

「神秘の丘(Runninng Up That Hill)」が収録された

彼女の5枚目のアルバム

「愛のかたち(Hounds of Love)」が発売された

1985年8月は、

ちょうど僕がロンドンで暮らし始めた時期だった。

 

狩猟の女神をイメージしたのだろう、

2匹の猟犬を抱いてパープルの湖面に横たわる

ケイトの妖艶なジャケット写真が

ロンドンの街中に貼り出されていたことを、

つい昨日のことのように思い出す。

 

「愛のかたち(Hounds of  Love)」は

傑作ぞろいの彼女のアルバムの中でも

ひときわ充実した内容で、

一曲一曲のクオリティの高さ、

緩急自在の曲のバリエーション、

精神世界から宇宙空間まで行かうようなスケールの大きさ、

コンセプトアート的な全体の統一感。

どれをとっても超絶的な素晴らしさで、

ロック/ポップミュージック史の金字塔である。

 

ケイト・ブッシュが

世界最高の女性ミュージシャンであること、

そして、彼女の音楽が人類が共有できる至宝であることは

疑う余地はないが、それにしても

人気ドラマで使われたからとは言え、

こんなアート系な曲が、2022年の今、

これほどまでの大ヒットになるとは驚きである。

何かが変わりつつあるサインなのか?

 

YouTubeではこの1ヵ月ほどの間に、

「神秘の丘」のリミックスバージョンが、

毎日、山のようにUPされている。

と同時に他の曲やアルバム、

インタビュー、レコード解説まで、

次から次へとあふれ出してくる。

 

僕としてはきっかけが何であれ、

これまでケイト・ブッシュを知らなかった大勢の人たちに

彼女の音楽を楽しんでもえらえば

何も言うことはない。

 

こちらはストレジャーシングスのリミックス(の一つ)↓

 

 

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エンディングライターとしての活動から綴った、老いと死をめぐる面白エッセイ集。