新刊本日発売「てるてる男とふれふれ女」

 

いつも天気のことを気にして生きてきた二人だが、

その時だけは違った。

若くて健康だったので直観が働いたのだ。

もしかしたら傷つくことになるかもしれないなんて

露とも考えず、まっすぐに思いをぶつけ合った。

大きな街の中心にニョキニョキと立つ高いビル。

その谷間にある丸い広場の片隅。

夕闇が辺りを包んでいた。

「好きだ」と男は言った。

「あたしも」と女は言った。

とても純粋な恋だった。

問題はただ一つ。

男は晴れ男で、女は雨女であること。

星のめぐりが最高な運命のデートの日は晴れるのか、

どしゃ降りになるのか。

はたまた間を取ってくもりになるのか。

女は耐えきれない思いを抱いて、男に長い手紙を書いた。

恋と結婚と幸福と人生の行く末を描く、

おかしくてセンチメンタルな短編小説。