1981年。
今から41年前のちょうど今頃から2ヵ月余りの間、
全米チャートのトップを走り続けた大ヒット曲。
1981年のグラミー賞最優秀楽曲賞も受賞した。
キム・カーンズ独特の強烈なハスキーヴォイスと、
高く鳴り響くシンセサイザー、そして打ち込みのビート。
絶妙なブレンドが生み出すマジックが酩酊感を醸し出す。
そしてビジュアルも印象的だった。
スラリとした長身に白いブラウス、黒いスーツの上下、
ロングブーツといういでたちで、
艶やかなブロンドの長髪をなびかせた
当時36歳のキム・カーンズは、
ベルばらのオスカルのようで、めっちゃカッコよかった。
それから40年後。
昨年、2021年のパフォーマンス。
キム・カーンズ、齢76。
さすがに容貌は衰え、身長も縮んだかのように見える。
ところが。
ヒット当時はもちろん、
いろいろな時代のライブと聴き比べてみたところ、
76歳で歌うこの「ベティ・デイビスの瞳」が最高なのだ。
なんでだろうと思って何度も聴いてみると、
往年の歌唱の力強さが少々薄れ、
時々わずかに声がかすれたり、
音程が不安定になるところがある。
それが却って気持ち良い「ゆらぎ」となって、
よりセクシーに響いてくるのだ。
すべて完璧ならいいというものじゃない。
音楽って、人間って面白い。
じいさん、おっさん、あんちゃん。
あらゆる年代の男たちをバックに従えて
不滅のハスキーヴォイスを聴かせるカーンズの
カッコいいばあさんっぷりには、
感動とリスペクトを覚えずにはいられない。
もう一つこの曲について発見があった。
なんとこの大ヒット曲はカヴァー曲だった。
オリジナルは1975年に、
ジャッキー・デシャノンという
ソングライターが歌ったもの。
聴いてみたら、ちょっとノスタルジックなジャズ調の曲。
何も知らないで聴いたら、よほど注意しないと
同じ曲だとは思えない。
それほどカーンズバージョンのアレンジは
斬新でエッジが立っていた。
女は男を弄び、惑わせ、悦ばせる
女は早熟で熟知している
頬を染めるプロに欠かせないもの
それはグレタ・ガルボのため息
そして、ベティ・デイビスの瞳
ベティ・デイビスは1930年代に活躍した
ハリウッド映画の名女優。
だからデシャノンの原曲はレトロジャズっぽい。
往年の女優をモチーフにした歌なのに、
なんでこんな斬新な曲が生まれたのか、
不思議に思っていたが、その謎が解けた。
自分の個性・センス・才能を信じて疑わなかった
カーンズの大勝利。
興味のある方はぜひデシャノンの原曲と
聴き比べてみてください。
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