司法書士の方の本の代筆をすることになり、
取材で川崎へ行く。
川崎と言えば、川崎球場。
大洋ホエールズの本拠地である。
「巨人の星」の左門豊作もいた。
と言っても、なんやそれ?と首をかしげる人も多いだろう。
昔あったプロ野球チームだ。
缶詰めでおなじみのマルハ(現・マルハニチロ)が
親会社で、ユニフォームの肩のところには
マルの中に「は」の字の入ったロゴが燦然と輝いていた。
川崎球場には、スタンドで麻雀やってる観客がいるとか、
流しそうめんをやっている人がいたという
レジェンドがある。
球場で流しそうめんやりながら野球見物というのは、
何やら昭和の高度成長時代を象徴するような絵柄である。
川崎にはそういう猥雑というか、
大衆的な活気が似合う街だった。
工業地帯、労働者、酔っぱらい、ギャンブル、風俗、
生活破綻者・・・
そういえば川崎という街の名前を初めて知ったのは、
中学生くらいの頃、当時の人気アイドルが、
デビュー前、川崎の風俗店で働いていたという
スクープがすっぱ抜かれ、
大スキャンダルになったことからだ。
どういう顛末になったかは忘れてしまったが。
そんなわけで、川崎には
いまだにそういう昭和のイメージがまとわりついている。
東京と横浜の狭間の街、というのも損なポジションだ。
そして、かの大洋ホエールズも昭和が終わらないうちに
本拠地を横浜に移し、
横浜ベイスターズ➡横浜DeNAベイスターズ
になってしまった。
ついでにサッカーのヴェルディ川崎も、
いつの間にか東京ヴェルディになっていた。
アクセスの良さにも関わらず、
東京・横浜においしいとこどりされている川崎だが、
わがクライアントの司法書士氏は
「だから私はここで事務所を開いて成功できたんです」
という。
東京や横浜はおいしい場所なので競争が激しすぎる。
よほど優秀でなければ成功するのは難しい。
はざまにある川崎は、いわばビジネスの穴場。
何と言っても東京や横浜に比べて家賃が安い!
というわけで氏は20年以上にわたってこの地に根を張り、
ビジネスを展開してきた。
おかげで僕にも仕事が回って来た。
今までほとんど縁のなかった街だが、
これから大事に思おう。
昭和ダーティのイメージをまとった川崎だが
今はきれいに洗練され、治安もよく、
大都市にあっては全国屈指の犯罪率の低さを誇るという。
ヴェルディは東京に行っちゃったけど、
フロンターレ川崎がいる。
でも、それじゃなんだかつまんないけどなぁと、
昭和人としては思ったりもするが。
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