「人は何度でも生まれ変われる」
「生まれ変わったつもりでがんばる」
「一度死んで生まれ変われ」
映画、ドラマ、文学など、フィクションの分野でも、
ビジネスなどリアルな分野でも、よく耳にするセリフだ。
美しい。
カッコいい。
ドラマティックだ。
でも、言葉だけなら誰でも、いくらでも言える。
実際に一度死んで生まれ変われる人なんていない。
そんなことできるはずがない。
これまではそうだった。
ところがそれが実現できるようになった。
横浜の地下鉄・三ッ沢下町駅のすぐそばにある
「逃げBar WhiteOut」がその実現の場だ。
何から何まで真白な空間。
小さなスペースだが、何だか無限に広がるような
不思議な感触のある空間だ。
ここのオーナーであり、体験作家の雨宮優氏は
今年2月からこの「逃げBar WhiteOut」で
「白葬(はくそう)」をプロデュースしている。
真白な空間で自分自身の葬儀を挙げることができる。
本気で「生まれ変わりたい」という人のための
舞台装置を整えたのだ。
演劇をやっていた僕の目から見ると、
とても演劇的な空間だ。
そうなのだ。
演劇の中であれば、人は何度も死ねるし、
何度でも生まれ変われる。
現代ではべつに演劇などやっていなくても、
一般の人が現実の常識から離れて、
仮想現実、バーチャル空間に
容易にアクセスできるよう、脳を進化させている。
特に若い世代は、その進化が著しい。
むかしの自分は死んだ。
ここで白葬を開いて新しい自分に生まれ変わる。
葬式は一生に一度きりでなくてもよい。
何度やってもよい時代になったのだ。
発案者の雨宮氏は白葬のリリースのなかで語っている。
“人生は1度きり。そうなのだと思う。
けれど、例えば1度きりの人生を
1つの小説だとしたときに、
それは複数の章によって構成されている。
そして章が変われば場面や時代、
キャラの設定だって変わっていることもある。
1つの人 生に対して1人の自分でいる縛りはないはずだ。”
ひとことで言えば生前葬だが、
従来のものとは全く違うことは一目瞭然。
こんなものを世に出した
雨宮氏の発想・オリジナリティには静かな感動を覚える。
彼自身は大変もの静かな青年だが、
「白葬」のほかにも、「Ozone合同会社」として
斬新でエキサイティングな活動をいろいろ行っている。
月刊仏事の取材で訪れ、これから記事を書くが、
葬儀やエンディングの概念を変えてしまうような
彼の活動には、個人的に大いに注目している。
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