1972年、フジテレビ放映のドラマ「木枯し紋次郎」の
主題歌としてリリースされた。
かの市川崑監督が描く時代劇で、
「市川崑劇場」と銘打っていた。
故郷の村が盗賊に襲われて家族が皆殺しになり、
一人生き残った。
確かそんなといった設定だったと思うが、
とにかく紋次郎は天涯孤独の男となり、
上州(群馬県あたり)を旅して回る。
「あっしには関りにないことでござんす」と言いつつも、
行く先々でトラブルに巻き込まれ、
悪党どもとチャンバラをする羽目になる。
件のニヒルなセリフと口にくわえた長い楊枝、
そして編み笠と旅合羽がトレードマークで、
アホなガキども(自分を含む)が
紋次郎のマネをして遊んでいた。
正直、ドラマはあまりまともに観たことがなく、
したがって大して思入れはないのだが、
この主題歌はいい曲だなぁと思って
レコードを買って持っていた。
上條恒彦はこのちょっと前、ギターを弾いている小室等と
「六文銭(ろくもんせん)」という
バンドを組んで活動していた。
六文銭の音楽は一応、フォークソングとして
カテゴライズされていたと思うが、
フォークやロックとは一線を画す、
もちろん歌謡曲とも違う独特の存在、
そして上條の圧倒的な歌唱力は子ども心にも衝撃的だった。
二人ともすっかりじいさんになってしまったが、
この曲は今聴いても、体の奥底から血がたぎってくる。
小室等のギターは優しく美しく響き、
上条恒彦は力強さを保ちながらも、
齢を取った男の味わい深い声で、
この歌の持つ内側のドラマを描き出す。
バックの演奏もオーケストラではなく、
ギターとピアノを立たせた小編成バンドで、
アレンジでとても新鮮だ。
2022年になっても、この先まで行っても、
きっとまだ、誰かが風の中で待っている。
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クロヒツジ (水曜日, 20 9月 2023 01:25)
小学校の卒業式の唄選びで、
この曲を歌いたいと言った女の子がいて、
先生が歌ってみろと女の子が試された。
彼女は席を立ち深呼吸して、
アカペラでワンコース歌った。圧巻。
結局歌は他の当たり障りの無いやつになったけど、
私の卒業式ソングは彼女のアカペラのこの曲。
リアル世代なんで51年前(笑)
広島県呉市のある小学校の出来事。