おりべまこと電子書籍:
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読みごたえたっぷり。
寒い冬の夜に読書であったまろう。
★子ども時間の深呼吸
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表題作ほか、「天才クラゲ切り:海を駆けるクラゲ」
「親子の絆をはぐくむ立ちション教育」
「お年玉はムダづかいしよう!」
「卒業式の詩と死」など、ブログで人気の40篇を収録
★どうして僕はロボットじゃないんだろう?
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表題作ほか、「介護士・看護師は人間か、ロボットか?」
「聖書から始まった人間VS機械」
「子どもはどうしてロボットが好きなのか?」
「ロボットみたいな人間、人間みたいなロボット」
など、ブログで人気の33篇を収録
立ち読みコーナー
「ちびちびリンゴとでかでかスイカ」
(子ども時間の深呼吸・収録)
「わーい、ぼくのいっぱい!」と、まだ幼児だった息子が大喜びしていたことがある。
十六等分の大きさで出していた(八つ切りを半分にする)リンゴををさらに小さく三十二等分のちびちびにして盛り付けてあげたのだ。小さい子は単純なので、全体の分量は変わらなくても数が増えると大喜び・大はしゃぎする。
「数」と人間の心理との関係は面白いもので、女性や小さい子は一つ一つは小さくても、いっぱいあった方が嬉しいという場合が多い。
これと反対なのが男性や少し大きくなった子ども。ドカン! デカっ! というやつに丸ごとかぶりつくのに至上の喜びを抱く。たとえばスイカ丸ごと食べたいという子ども(特に男の子)は少なくない。少年が抱く夢の一つといってもいいくらいだ。
「ぼくのいっぱい!」と言っていた息子も保育園に通うようになってから、夏になるたびにこの「スイカ丸ごと」と言い出した。うるさいので無視していたが、夢というのは諦めることなく、くり返し唱えていると、神様が根負けしていつかは叶えてくれるものだ。
彼が小学校四年生の夏休み、その時が来た。
知り合いから続けざまに丸のままのスイカを二個もらったのである。
僕は夏休みの思い出にもなるし、かねてからの夢を叶えてやろうと一個は息子にそのままあげたのだ。
目の前でズバッと半分に切る。もちろん大喜びで歓喜の声を上げる。そしてスプーン片手に、半球形になったスイカに勇ましく立ち向かった。ところが――。
途中、まだ三合目あたりであえなくギブアップ。結局、残りは友だちが来た時にいっしょに食べていた。以降、その年はもう「スイカが食べたい」とは二度と言わなかった。いま考えるとよく腹をこわさなかったものだ。
あの夏、彼は人生の真理を一つ学んだのかも知れない。そして僕も自分の教訓とした。子どもの夢は百パーセント叶えて満腹にしてしまってはいけない、と。
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