2020年、一発目のこのコーナーでは、
1973年1月10日のパリの劇場における
ジェネシスのライブをご紹介。
この時代のジェエシスは
「シアトリカルバンド」とも呼ばれ、
ライブにおける演劇的パフォーマンスが
高く評価されていた。
そのシアトリカルな部分は、
ヴォーカルのピーター・ガブリエルの独壇場だった。
フルートを吹き、タンバリンを響かせ、
バスドラを踏み鳴らし、そして、
マイクスタンドを振り回す、
半世紀前の若きガブリエルの雄姿が、
つい昨日撮ったばかりのような美しい映像でよみがえる。
2020年秋から2021年にかけて毎週、このコーナーで
僕が子どもの頃・若い頃、よく聴いたミュージシャン、
今でも大好きな楽曲を60以上紹介してきた。
その中で最もアクセスが多かったのが、
昨年5月にUPしたジェネシスの「サパーズレディ」だった。
ちなみに2位は松田聖子の「秘密の花園」、
3位はランパの「ロッホ・セヌ―」、
4位はミッシェル・ポルナレフの「忘れじのグローリア」、
5位は平山みきの「真夏の出来事」である。
面白い?
1970年代プログレッシブロックの特徴の一つに
楽曲の長大さが挙げられるが、
「サパーズレディ」もアナログレコード片面を
ほぼ全部使った20分超の大曲。
それが他を抑えて、なぜこんなに人気があるのか、
ちょっと驚きだ。
この1973年初頭、今から49年前のライブは
フランスのテレビ局が収録フィルムを
音楽番組として放送したものだ。
収録されているのは、この時代のジェネシスの名曲4曲。
①怪奇のオルゴール(0:00)
②サパーズレデイ(10:03)
③ザ・リターン・オブ・ジャイアントホッグウィード(21:22)
④ザ・ナイフ(26:48)
4曲とも番組放送用に編集されて短くなっており、
特に「サパーズレディ」は中盤が大幅にカットされて
半分くらいの長さ。
フルでこの4曲をやると1時間かかるから、
やむを得なかったのかもしれない。
それでもこのコンテンツを紹介するのは、
冒頭でもお話した通り、その画質のクオリティである。
約50年も前のライブがこんなクリアで
美しい映像で見られるとは感動ものだ。
もちろん演奏も素晴らしい。
「シアトリカルバンド」という情報はあったものの、
ホームビデオさえなかった1970年代に
日本にいた僕たちは
その稀有なパフォーマンスを見ることはできず、
いわば幻の人気プログレバンドだった。
時々、ピーター・ガブリエルが奇天烈な格好をして
歌っているのを、
レコードジャケットやし雑誌の写真で見た程度である。
(僕の記憶にある限り、日本のテレビで
ジェネシスの演奏がオンエアされたことはなかった)
それがいま、およそ50年を経て、
インターネットで無料で楽しめるなんて、
考えてみれば夢のようである。
怪しいオカルティックな幻想曲を歌いながら、
赤いドレスを着たキツネ婦人に変身したり、
「サパーズレディ」圧巻のクライマックスで
真っ白な天使となって昇天したり、
マイクスタンドを縦横無尽に操って
ステージ上で狂走するガブリエル。
その姿はクールに見ると滑稽で笑ってしまうが、
このイメージ、この感情を表現したいんだ、
何が何でも伝えたいんだ、という意欲が
体中にあふれていて、
笑いながらも胸が熱くなり、
やはり心打たれずにはいられない。
そしてこんなユニークな音楽パフォーマンスは
現代ではなかなかお目にかかれないと思う。
最後に4分間ほど、ライブ後のインタビューが入っており、
音楽的にはビートルズ、キング・クリムゾン、
パフォーマンス的には、アリス・クーパー、
デヴィッド・ボウイなどの影響を受けた・・・
といった話をしているようだ。
ガブリエル・ジェネシスのすごさ、面白さ、美しさが
存分に堪能できるライブフィルム。
興味を覚えた人は、画質は悪いものの、
1970年代前半のガブリエル・ジェネシスのライブ映像が
いくつかも上がっているので、
ぜひ観てみてください。
また、この「週末の懐メロ」でご紹介した
アニメーションの「サパーズレディ」も面白く、
この楽曲の物語もわかりやすく楽しめるので、
ぜひご覧ください。
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