先日、港区芝(浜松町と田町の間)にある
正傳寺(しょうでんじ)というお寺を取材した。
ここは江戸時代、毘沙門天を祀っていることで
参拝客で大賑わいしたというお寺だ。
来年、令和4(2020)年の干支は寅だが、
このお寺の毘沙門堂には狛犬ではなく、
二体の狛寅(こまとら)が鎮座している。
これは毘沙門天が日本で初めて姿を現したのは、
寅年、寅日、寅の刻だったという伝承があることから
寅が使いとされるようになったからだ。
勇猛な寅は、甲冑を着た戦いの神に
ぴったりイメージが当てはまる。
もう一つ、同じく毘沙門天の使いとされているのは百足だ。
百足は気味悪がる人が多く、
嚙まれるとアレルギー反応を起こすこともある毒虫だが、
こちらも江戸庶民の間では
縁起の良い生き物だと評判が高い。
理由は江戸庶民はお金のことを「お足」と言ったため、
百足はそのお足がたくさんあるということで
金運を呼ぶとされたからだ。
また、歌舞伎役者など、人気商売の人も
たくさんの足が自分に向きますように、
つまり、人気が出ますようにと願って
自分の家紋に百足を使うことがよくあったという。
江戸っ子の洒落、現代なら「おやじギャグ」の類だが、
正傳寺ではこうした江戸庶民の感情を機敏に捉え、
「百足小判」のお守りを考案して販売。
これが大いにウケたという。
今のこの寺の住職さんは、こうした歴史を踏まえて
自らデザインして
この「百足小判」の復刻版をプロデュース。
これが大好評を博している。
毘沙門天のお寺は、東京では神楽坂の善國寺が
最も有名(ここにももちろん狛寅が鎮座している)で、
正傳寺にならって百足小判のお守りを売り出したらしいが、
「オリジナルはこちら、あちらはフォロワーです」
と住職さん。
いずれにしても、寅年に狛寅のいるお寺で、
金運と人気が上がる百足小判は縁起がいい。
来年はぜひ毘沙門天様にお参りするといいことあるかも。
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