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キング・クリムゾンの伝説と21世紀版「風に語りて」
1969年にスタートしたキング・クリムゾンは、
メンバーの中に「作詞家」がいた。
「作詞家」は楽器を演奏しない。
歌も歌わない。
だからライブをやってもステージに立たない。
そんな人がバンドの正式メンバーとして
クレジットされている。
曲自体もすごかったが、
そうした他にないユニークな面もあって、
僕の中でキング・クリムゾンは特別な存在になった。
その作詞家――ピート・シンフィールドは、
おそらくキング・クリムゾンのコンセプトメーカーという
位置づけだったのだろう。
当初のクリムゾンはバンドと言うよりも、
一種の音楽プロジェクトのような集団だったのだと思う。
だからアルバム一枚出すごとに
メンバーチェンジを繰り返していた。
「風に語りて」はかの名盤「クリムゾンキングの宮殿」で二曲目に収められており、一曲目の荒々しい狂気の世界から一転、イアン・マクドナルドが奏でるフルートの音色が印象的な、平和でやさしい世界を醸し出していた。
じつはこの曲、クリムゾンの前身のバンド時代に
原曲があり、ヴォーカルをグレッグ・レイクではなく、
Judy Dybleジュディ・ダイブルという
フォーク系の女性歌手が歌っていた。
彼女は1960年代にわずかな作品を残して、
70年代・80年代の英国音楽シーンで
華々しい活躍することもなく消えていった・・・
と思っていたら、なんと、
21世紀になってから復活していたことを最近知った。
どういう事情があってのことかはわからない。
おそらく結婚・出産・育児が終わって・・・
ということだと思うが、
30年以上の年月を経ての復活だ。
ミュージシャンの中には
若い時代の栄光にしがみついて沈んでいく人もいるが、
こんな人もいるんだと、ちょっと感心した。
人生何があるか。どう転がるかわからない…と思いながら、ジュディ・ダイブルのニューヴォーカル、
ニューアレンジで歌う
21世紀版「風に語りて」に耳を傾ける。
(2014年7月18日)
※追記:ジュディ・ダイブルは2020年7月、
肺がんのため永眠した。享年71歳。R.I.P。
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