「ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力」4週連続無料キャンペーン TAKE1

 

♪八王子・冨士森公園のスローバラード駐車場で、ポップミュージックをこよなく愛した僕らの時代の妄想力について考える

 

八王子市の中央部にある富士森公園の駐車場は、

ある一部の人たちにとって特別な場所である。

ある一部の人たちというのは、RCサクセション、

あるいは忌野清志郎の音楽が好きな人たちだ。

ちなみにそこには僕自身も含まれている。

 

この駐車場は彼らの名曲「スローバラード」の舞台なのである。

清志郎は、市営グランドの駐車場に停めた車の中で

女の子と手をつないで眠ったと、その曲の中で歌っている。

 

そうなのだ、ここはもともと運動公園で

陸上競技のグランドになっていた。

おそらく清志郎がこの歌を作った若かりし頃は、

現在のようにきちんと整備・舗装されていない、

土の駐車場だったのだと思う。

 

そんなイメージを抱きながら、

僕は仕事の合間にこの入口に立ち、

頭の中にスローバラードの切ないメロディを響かせてみた。

 

すると一瞬のち、この場所は

もう何の変哲もないただの駐車場ではあり得ず、

光り輝くロックの聖地に変貌を遂げる。

 

おそらく僕だけでなく、

一九六〇~七〇年代のロック・ポップミュージックに

浸っていた輩は、こうした想像力が旺盛だ。

 

当時はインターネットはおろか、

まだミュージックビデオさえもなかった。

僕たちが得られる音楽周辺の情報は、

一部の音楽雑誌に載る記事と、

ごく限られた写真、ラジオ、ごくたまにテレビ、

そしてレコードジャケットのアートワークと

ライナーノーツだけだった。

 

現代と比べればごくわずかなそれらの情報をタネに、

僕たちは想像力を駆使して、

その音楽の中からほとばしる感情を受け止め、

立ち現れる世界に没頭し、

ひとりひとりが自分の感性によりぴったりくるよう

頭の中でアレンジを施し、

「自分の歌・自分の音楽」に育てあげていた・・・。

(2017年10月4日)

 

 

 

9月11日(土)16:00~12日(日)15:59 実施中!

http://www.amazon.com/dp/B08SKGH8BV

 

 

●アーティストたちの前に扉が開いていた

●21世紀のビートルズ伝説

●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について

●ヘイ・ジュード:ジョンとポールの別れの歌

●阿久悠の作詞入門

●余命9ヵ月のピアニスト

●ローリング・ストーンズと新選組の相似点について

●キング・クリムゾンの伝説と21世紀版「風に語りて」

 

 ほか全33編