コロナで人類が滅亡すると思っている人は
ほとんどいないが、この先のことはわからない。
変異を繰り返して、
おそるべき大量殺戮ウイルスにならないとも限らない。
でも、そうしたら世界中の人々は
現在のように分断された状況ではなく、
心を一つにして「人類の敵」に立ち向かっていくだろう。
そんなことを考え出したのは、
そう言えばここ最近、
地球滅亡・人類滅亡系の映画を観ていないなぁと
ふと思ったからである。
最後に観たのは「アルマゲドン」だったか。
ということは、
21世紀になってからほとんど観ていないのか?
小説やマンガはどうか?
「寄生獣」などは人類滅亡系のカテゴリーに
入らなくはない。
「エヴァンゲリオン」は?
20世紀の旧作(旧劇場版)はそのニュアンスが強かった。
しかし、新劇場版になると、心の問題にすり替わった。
「地球滅亡・人類滅亡は、あなた自身の心の問題です」
というわけだ。
キリスト教瀬世界では「ノアの箱舟」など、
地球滅亡・人類滅亡は
大昔から語り継がれてきた一大テーマである。
そこから救世主・英雄の物語が展開した。
20世紀後半以降、それが現代科学の発展、
核兵器の開発などと結びついて、
SF分野で地球滅亡・人類滅亡の物語が
量産されるようになった。
また、僕らの世代の日本人は
「ノストラダムスの大予言」に当たってしまったので、
「地球滅亡・人類滅亡」に脳のコア部分が侵食されている。
僕はこの20年余り、さすがに食傷して、
あんまりその手の物語を楽しめなくなっていたが、
相変わらず滅亡映画は創られ続け、
どれもそこそこヒットしているようである。
観客がいなければ映画なんて作らないので、
やはり安定した需要があると考えられる。
そして、なんでそんなに需要があるのか?と考えると、
答は割と簡単で、先進国社会はおしなべて、
この先、人口が減っていくからである。
先進諸国の人口はピークアウトしている。
ピークアウトしているからこそ先進国であり、
豊かな経済・豊かな生活を実現していると言ってもいい。
ということは極論すると、
いずれは日本なら日本人がいなくなり、
人類が地球からいなくなるということだ。
もちろんそれは遠い遠い未来の話で、
僕たちや、僕たちの子どもや孫の時代に
起こることではない。
けれどもどれほど先かはわからないけど、
確実にそれはやってくる。
現代の人間と同じ新人類が地球に出てきたのが、
およそ20万年前だというから、
それくらいのスパンで人類は消滅するとも考えられる。
あるいは、もう人類とは呼べない、
ちがう生き物になっているのかもしれない。
ぼくたちの脳はもうそのことをどこかで感知している。
じつは得体の知れない不安のもとはそれである。
僕も含めてみんな、漠然とした将来への不安を抱え、
なんとか拭い去ろうと躍起になっているが、
はっきりいって無理である。
いずれ人類は滅亡する。
ぼくたちはその途上にいる。
人が地球滅亡・人類滅亡の物語を創り続けるのは、
一時的にでもその不安を払しょくし、
心の安定を取り戻すため。
いわば、一種の宗教的行為なのである。
そこには女神が、英雄が、救世主がいる。
そしてあなたの隣に愛する人が、大切な人がいる。
地球滅亡・人類滅亡の物語はそう教え、人々を導く。
安心できるためには、
やっぱり「愛」と「信じること」が必要なのだ。
と、ここでアルマゲドン愛のテーマ、
エアロスミスの「I Don't Want To Miss A Thing」が
ドラマチックに流れる。
ああ、また映画が観たくなった。
というわけで、もしコロナがおそるべき変異を遂げたら、
マスクしろ・しなくていい、
ワクチン打つべし・いや、あれは毒だ、支配層の陰謀だと
しょーもない喧嘩をすることなく、
人類は愛の心で一丸となてるのではないか?
もちろん、そんなことは望んでないけど、
たとえコロナが今のレベルでも、
かかったら重症化して死んでしまう可能性は誰にでもある。
べつに地球が滅亡しなくても、人類が滅亡しなくても、
あなたが死んだら、
あなたの地球も世界もそれで終わってしまう。
だから気を付けてね。
そして、死なないでね。
あなたの地球、あなたの世界を守るために。
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●もくじ
他者に不寛容だから幸福度低い?ニッポン
1月21日のルイ16世とマリー・アントワネット
アムステルダムのナシゴレンとコロッケとアンネ・フランク
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