アイスランドで初の世界的ミュージシャンとして
羽ばたいたビョークが
1993年にリリースした必殺の1曲。
未来チックでありながら
懐かしい子守歌のような音色とリズムは
浮遊感たっぷりで
どこかべつの宇宙へつれていかれそうだ。
かつてのケイト・ブッシュを彷彿とさせる
サウンドとパフォーマンスだが、
ビョークは顔立ちが東洋系のせいか、
妖精というよりかわいい妖怪といった感じ。
影ふみをして遊ぶざしきわらしのように見えてしまう。
「彼は美を信じる少年ヴィーナス」という歌詞は
けっこうエロいニュアンスがあるけど、
少女のように見える彼女、
じつはこの頃、すでに母親だった。
なのでこの歌は、もしかしたら
息子への愛情を歌ったものなのかもしれない。
なんとなく子守歌っぽく聞こえるのはそのせいかも。
ジャン・レノ主演・リュック・ベッソン監督の
映画「レオン」の挿入歌として憶えている人も多い。
「やさしい殺し屋のララバイ」というところか。
彼女自身もこの後、映画女優として活躍。
2000年には「ダンサー・イン・ザ・ダーク」という
かなりヤバい映画に主演し、
第53回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール、
そして主演女優賞を獲得した。
北の果ての国から生まれた特異な才能。
月光のなかでゆらゆら揺らぎながら歌うビョークは、
むし暑い夏の夜をひんやりクールにしてくれる。
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エッセイ集:音楽
ポップミュージックを
こよなく愛した僕らの時代の妄想力
ロックが劇的に進化し、ポップミュージックが世界を覆った時代。僕たちのイマジネーションは 音楽からどれだけの影響を受け、どんな変態を遂げたのか。心の財産となったあの時代の夢と歌を考察する音楽エッセイ集33篇。
もくじ
●アーティストたちの前に扉が開いていた
●21世紀のビートルズ伝説
●藤圭子と宇多田ヒカルの歌う力の遺伝子について
●ローリング・ストーンズと新選組の相似点について
●キング・クリムゾンの伝説と21世紀版「風に語りて」 ほか
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