週末の懐メロ43:ラヴ・ラヴ・ラヴ/ザ・タイガース

 

映画情報に触れて、ふと沢田研二のことを思い出し、

聴いていたら何曲目かに出てきた「ラヴ・ラヴ・ラヴ」。

 

リリースは1969年末。

他のグループのメンバーも夜中にスタジオに集まってきて、

レコーディングに参加した、という逸話もあるくらい、

かなり気合を入れて作られたらしい。

が、その割にはあまりヒットしなかった。

 

熱狂的だったブームは瞬く間に過ぎ去り、

ザ・タイガースをはじめとする

日本のGS(グループサウンズ)の時代は

もう終わろうとしていた。

 

僕もまだ子どもだったので、

リアルタイムでこの曲を聴いたことは、

ほとんどなかった。

 

テレビで観た憶えもないし、

いつ、どこで、どう耳にしたのかわからない。

けれども、このメロディはずっと脳のどこかに

こびりついていた。

 

そして、おそらく50年ぶりに聴いて衝撃を受けた。

 

明らかにビートルズの

「愛こそはずべて(All you need is LOVE)」に

インスパイアされた曲だ。

 

だけどこれ、ビートルズよりうんといいやんか。

めっちゃ素晴らしい曲やんか。

 

 

沢田研二は先日公開された

山田洋次監督の「キネマの神様」で、

昨年コロナで亡くなった志村けんの代役を務めている。

 

エロチックでデカダンで

ファンタジック。

日本人離れしたな魅惑のパフォーマンスで

1970年代の日本のポップス界をリードした沢田研二。

 

あの頃の若い女と男を魅了しまくった

スーパースター“ジュリー”が、

「寅さん」に代表される山田人情映画で、

人生を破綻させた老人役を演じるなんて

誰も夢にも思わなかっただろう。

 

けれども年齢を重ね、

いろいろな経験を重ねた彼にとっては

そんなに特別なことではなかったのかもしれない。

 

 

僕らが抱くかつてのジュリーの幻想から離れて数十年、

沢田研二はずっとコンサートを開き、

歌い続け、音楽とともに生きてきた。

 

この曲も自分のソロコンサートで、

そしてタイガースの復活コンサートで、

ずっと大事に歌い継いできた。

 

映像は復活タイガースの2013年のコンサート。

GSの中でもトップだった人気バンドは、

ただのアイドルではなかった。

ヴォーカルも演奏力も一流だった。

 

5人ともすっかりじいさんになってしまったが、

サポートを受けずとも素晴らしい演奏を繰りひろげていく。

 

ドラマ・映画の名わき役として知られる

岸部一徳(旧名・修造、愛称サリー)の唸るベース。

 

ハートビートを打ち続け、

クライマックスに炸裂する瞳みのる(愛称ピー)のドラム。

このカッコよさはどうだ。

 

そして沢田研二のヴォーカルも

若い頃からけっして衰えていない。

むしろ齢を取って深みを増しているように感じる。

 

本当に時はあまりにも早く過ぎてゆく。

喜びも悲しみもすべてつかの間だ。

 

「ラヴ・ラヴ・ラヴ」の歌詞は、

いま歌ってこそ、いま聴いてこそ、

深く心に染みる。

 

ラヴ・ラヴ・ラヴ 愛こそすべて

 

映画観に行くよ。

まだまだ終わらない。

がんばれジュリー!

 

 

 

 

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